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[フットサルW杯2012]11/4 ポルトガル代表戦後 ミゲル監督コメント

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[11.4 フットサルW杯2012 ポルトガル5-5日本 コラート]

 フットサルW杯は4日、大会4日目を行い、フットサル日本代表はポルトガル代表と5-5で引き分けた。前半、完全に劣勢の試合を強いられた日本だが、後半に入り猛反撃を見せる。パワープレーからポルトガルの守備を崩すと、一気に3点の差を追い付いた。終盤にはFP森岡薫(名古屋オーシャンズ)がハットトリックを決めるチャンスも得たが、そのまま試合は終了。試合後、ミゲル監督は満足気に試合を振り返った。

以下、ミゲル・ロドリゴ監督コメント
「前半は見てもお分かりのとおり、ナーバスになり過ぎていました。始まる前から『歴史を変えるんだから』と発破をかけて、空気感をつくっていたのですが、それが重かったのか、テンションが上がり過ぎたのか、固くなって良いプレーができない前半でした。HTで、後半開始1秒から変えていこうと話していたことが実現できました。後半のプレー、あれが日本代表のプレーだと思います。前半、そういうことが起きたことは、苛立ちを覚えます。しかし、メンタルの戦いの部分であり、それはどんなスポーツでも、どんなシーンでもあることなので、仕方がないかなと思います」
―後半の立ち上がりの組み合わせの狙いは?
「前半の流れを見て、調子がいいなと感じた選手、あの中でも力を出せていた選手を選びました。今日、ラファエルはそんなに良くありませんでしたが、その中でも後半にチャンスを与える意味で、スタートに入れました。それに見事に応えてくれたと評価しています」
―森岡選手が点を取ったが?
「今日は私たちの知っている森岡薫がいましたね。今日は彼が試合を変えてくれたと言っても過言ではないと思います。彼のクオリティでチームに欠けているものを、プラスアルファしてくれたことで、立ち直れたゲームだったと思います」
―パワープレーは?
「最後に見せたパワープレーは秘密にして、トレーニングしていました。世界でもあの形を取ったチームはないと思います。オリジナルのものです。今日、それを見せたのは、ブラジル戦で見せたくはなかった。東京でも、ここでも、ブラジル戦では回避しました。相当、自信があった形だったので、これを使えばサプライズを起こせると思っていました」
―後半は勢いで逆転できた?
「勢いだけじゃなく、インテリジェンスを持ってプレーできたと思います。ハーフタイムに話していたのはメンタルなことですね。ナーバスな部分、固くなっている部分、歴史をつくるとか、そういったことを考える必要はないと話しました。選手たちは、ゲームを楽しむということができていなかった。『まるで罰を受けて、仕方なくピッチに立たされているように見えている』という話もしました。ときにはその流れから立ち直れなかったり、そのまま立ち直ったり、そういうことが起きないこともありますが、今日はマインドを変えて後半に入ることができました。ただし、忘れたくないのは、いよいよ本当に一番難しい試合が来ます。リビア戦です。今日の後半を汚すようなゲームをしたら、何の意味もなくなります。リビア戦では、うちの方が力があると思われていますが、今日と違う相手に今日と同じプレッシャーを感じながら戦うことになります。それは、日本のフットサルの歴史を変えるため、グループリーグ突破を目指す、というプレッシャーです。ですから、次のゲームに向けてやらなければいけないことは、責任感と重みによって固くならないでゲームに入ること。そういうマインドでゲームに入ることです」
―最後に森岡選手が決めていれば、逆転できる可能性もあったが?
「逆によく見ると、最後の最後で失点をする危ない場面もありました。負けてもおかしくないゲームでしたので、妥当な結果だったと思います。ポルトガルが前半を優勢に進め。後半は日本のゲームでした。それが結果にも表れたと思います」
―2位での通過も見えて来たが?
「リビアに勝つことができれば、2位に入る可能性も出てくると思います。ただ、難しいゲームになるでしょう。いろいろな要素もありますので。1点差でも良いので勝ちたい。何にせよ、勝ちたい」
―ポルトガル戦で何かが起きると、W杯前から話していたが?
「私はよく『魔法使い』と言われます(笑い。そういうのを、第6感で感じ取るんです。ただ、それはスポーツでしか生きません。宝くじはあたらないんですよ(笑)」
―残り20秒での小曽戸選手のビッグセーブも当てましたね。
「そうですね(笑)。それで引き分け、ちょっとドキドキしましたよね?」
―後半にカズを起用しなかったことは?
「あの時間帯の流れは本当のスペシャリストでしか対応ができなかったので起用できませんでした。ちょうど、ここに来る前に話をしたのですが、カズ選手から『何も気にしないで、このファミリーのための決断をしてほしい』と言ってくれた。そういう話をしてくれたことが、本当に彼のここにきたチャレンジの大きさ、彼しか成しえないチャレンジに値します。まさにフットボール界の生ける神様のように感じます」
―パワープレーはいつから準備していた?
「中国広州親善大会のときからです。ルーマニア戦でやり、中国戦でもやりました。その2回で使って、これは武器になると選手たちも手ごたえをつかみ、僕たちも秘密兵器ではないですが、武器にしようと思っていました」
―ポルトガル戦で使おうと思ったのも直感?
「はい。それも第6感ですね」
―5-5でもパワープレーを続けた狙いは?
「勝ちに行きました。そこで長くボールを回したら、3分ちょっと残っていました。3分ボールを保持して、最後に一撃で良いと話しました。向こうは、その展開をイヤがって、前に出てくる。そこが狙いどころでした。具体的には、森岡(薫)のシュートが上に行ったときですね。1アタックでいい。3分間ポゼッションしていても良いと思っていました」
―あの時間帯、気持ちが日本の方が上でしたね?
「後半は完全に。残念だったのは前半でした」
―小曽戸選手の出来は?
「良かったですよ。ただし、後半だけの話では、全員が良かった。その中でも森岡は際立っていましたけどね。前半であれば、監督も含めて、全員が悪かった」
―パワープレーの世界でどこもやっていない形は、どのあたりが?
「最初のポゼッションから、ローテーションしていく形です。その動きがクリエイティブなんです」
―代表に入ったばかりの森岡選手をパワープレーに入れていたが?
「彼が最初に来てから、少しずつやり方を教えて馴染んでもらっていきました」
―これだけ良いポルトガルに、この展開から引き分けたのは、大きいのでは?
「すごいスーパーマンになったような自信が付いたと思います。これをうまく生かし、次のリビア戦につなげたいと思います」
―HTの指示は怒った?
「怒りました。子供の行儀が悪かったり、子供が良くないことをしたら、叱りますよね?それと同じです。ただ、なぜ怒っているかは説明しました。怒られないためにはどうすればいいかをちゃんと説明した上で怒りました。中には怒りっぱなしで、ひっぱたくお父さんもいると思いますが、私は違います。怒るときは、その理由を言いますし、もう一度怒らせないためには、どうすればいいかを説明します。それを分かってくれた後半だったと思います。本当に頭に来て怒りましたからね。ここまで声をあげて叱ったことは、ないかもしれません」
―前半の5点目を決められ苦しくなったが、カズ選手の起用方法は変わらないか?
「DFの原因は、現象が起こらないと分からないことがあります。5点目はカズ選手がいたときにおきましたが、それ以外のときも失点しています。木暮もミスして、ラファも置いて行かれました。ただ、守備の話を中心にしたらそうなりますが、攻撃はできていました。シュートもありました。守備は前半、みんなひどかった」

(取材・文 河合拓)

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