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細かな戦術確認を歓迎するFP皆本「戦術理解度で勝負する」

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 アジア選手権を連覇したフットサル日本代表が、いよいよ2年後のW杯予選、W杯本大会に向けて動き出した。2日に行われた千葉合宿では、ミゲル・ロドリゴ監督は、ドリブルをする際の細かな約束事などをチームで確認した。

 ミゲル監督が就任した年から代表に名を連ねているFP皆本晃(府中)も「ここまで細かくやるのは初めてですね。これまでも口頭で説明したり、(作戦)ボード上で『こうやろう』という確認は何度かあったので、ある程度のイメージはありました。でも、これを切り取ってやるのは初めてだった。細かい戦い方を示してくれているのかなという感じはします」と、語る。

 クロアチアと強化試合を行うことが発表されたとき、ミゲル監督は「アジア選手権を優勝したメンバーのお祝い」と話していた。だが、今回の合宿に祝福ムードはない。17人から14人にメンバーが絞られることに加え、細部の確認をしていることもあり、チームには程良い緊張感が漂っている。

「やっぱりクロアチア戦に勝たないと、お祝いムードにもならない。クロアチアに勝った上で、お祝いしてもらおうっていう気持ちが、言葉にしていなくても監督には絶対にあると思う。お祝いの意味を履き違えてはいけないと、オレらは感じています」と、皆本は気を引き締める。

 皆本はアジア選手権後のイタリア遠征、クウェート遠征の両方に招集された。戦術理解度も高く、外からは指揮官の信頼を勝ち取っているように見える。だが、皆本自身にその意識はない。

「競争は常に代表でも、クラブでもあるものですし、自分の良さを出していかないといけない。逆に戦術理解度で劣ってしまえば、僕はここにいられません。僕より技術が低い選手は代表にいないと思うし、能力だけなら僕より高い選手はFリーグにもたくさんいます。どこで勝負するかとなると、戦術理解度であったり、頭の部分。戦術の部分に関して、監督から何かを言われたら、オレの場合はもう終わりだと思っているので、そこは自分が引っ張って行くつもりでやっていきたい」。

 実際に、この日の練習の中でもGK川原永光(浜松)と、細かく守備の確認をする場面が見られた。「カバーに対して、フィクソが行くのか、GKが行くのか、その確認でした。『ここまで出たらGKが行った方が良いよね。そしたらオレは逆サイドに行く』というような確認です。川ちゃん(川原)からも『ここは、これでいいよな』と言われましたし、クラブとはやり方が違うので、そのすり合わせです。今回はアジア選手権を戦ったメンバーが多いですし、ある程度、クラブチームのように詰めていかないといけないと思っています」。

 フィクソの皆本は、屈強な外国人選手と対峙することも多いが、身長168センチ、体重67キロと体躯に恵まれているわけではない。だからこそ、一つひとつの不安要素を理詰めで取り除いていき、体格のハンディを埋めていく。そして、それが日本代表の大きな支えとなるのだ。

(取材・文 河合拓)

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