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“鬼の球際”でボール奪取! 2点目の起点になった大畑歩夢「そこに行かないと後手を踏む」

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DF大畑歩夢

[4.29 AFC U23アジア杯準決勝 日本 2-0 イラク ドーハ]

 延長まで闘った準々決勝のカタール戦に続いて左SBで先発したDF大畑歩夢(浦和)が、気迫溢れるプレーで勝利に貢献した。FW細谷真大のゴラッソで1-0とリードして迎えた前半43分。左サイドでイラクに奪われかけたイーブンボールに猛烈な勢いで突進した大畑は、相手選手2人と競りながらボールを奪いきり、ペナルティーアーク付近のスペースに進入してきたMF藤田譲瑠チマへパス。藤田がワンタッチで出したボールをMF荒木遼太郎がゴール右隅に沈めて日本は2-0とリードを広げた。

「自分がサイドで奪われてももう一回取り切れば、切り替えの場面ではああやってスペースが空くので、藤田選手がうまくワンタッチで荒木選手に出せたのかなと思っています」

 見事な球際の勝利はその場面だけではない。「イラクは球際が強いと聞いていた。そこに行かないと後手を踏むので、選手全員が球際で闘っていた」。身長168センチの小柄なサイドバックは胸を張って言った。

 球際のところで全員が「強く行く」という統一意識を持って戦えた背景には、イラク戦前夜の選手ミーティングがあった。狙いはカタールに勝ってホッとするなということと、もうひとつはU-21日本代表で参加した22年のU-23アジアカップの準決勝で開催国のウズベキスタンに敗れた二の舞を踏まないということ。

「カタールに勝ったところからもう一度引き締める意味。それと、自分は行っていないのですが、(22年の)ウズベキスタンの時は準決勝で負けている。その時に出ていた選手も多くいるので、ミーティングでもう一回全員が引き締めて今日の結果になったと思う」

 今大会では上位3チームにパリ五輪出場権が与えられるため、準決勝で負けても3位決定戦で勝てばパリ行きの切符を手にすることはできる。しかし、「負けても次があるけど、選手全員がそこは見ていなかった。きょう勝って決めると選手全員で話した」。その結果としてつかんだパリ切符だった。

 勝利の瞬間は「もちろんうれしさもありますが、一番は疲れたな、と」と疲労をにじませた。大会序盤に痛めた右手指には分厚いテーピング。首には置き針。だが、「きょうは後半の残り半分くらいから一気に疲れがきて足が止まったけど、もっと上げていかないといけない」ときっぱり言った大畑。中3日で迎える決勝に目を向けていた。

(取材・文 矢内由美子)

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矢内由美子
Text by 矢内由美子

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