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U23アジア杯でたしかな安定感…19歳最年少・高井幸大の充実「出れていることは光栄。噛みしめてやっている」

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DF高井幸大

 今大会で最も存在感を高めた選手の一人だ。U-23日本代表DF高井幸大(川崎F)は4試合でフル出場。「出れていることは光栄。噛みしめてやっている」(高井)。アジア勢を相手に、アグレッシブな守備と冷静なビルドアップで勝利に貢献してきた。

 試合ごとに安定感が増している。高井は今大会のチーム最年少19歳でメンバー入りすると、グループリーグ初戦・中国戦で先発に名を連ねた。DF西尾隆矢(C大阪)の退場という緊急事態にも冷静に対応。第3節・韓国戦、準々決勝・カタール戦でも苦しい戦いを経験していくと、準決勝イラク戦では完封勝利を果たし、パリオリンピック出場に大きく貢献した。

 イラク戦では攻守ともに輝いた。ほとんどチャンスを作らせなかったが、後半29分には自陣に入られる。しかしゴール前での決定機を阻んだのは高井。冷静なブロックでピンチを退いた。攻撃面ではCBや中盤の選手だけでなく、一人飛ばしたロングパスを通し、相手選手をかわしながらボールを前に運ぶ場面も何度も作った。

 自分でも手応えはある。「この大会を通してすごく成長してきた」と実感を込める。苦難を乗り越え、チーム一丸でレベルアップ。「個人個人で成長してきた。自分も含めてもう一個上に、何か形で残すために優勝をしっかり達成しなければいけない」とアジア制覇へのこだわりものぞかせた。

 チーム最年少として代表活動を楽しんでいた。松木玖生のバースデーサプライズにはケーキを持参して笑顔。イラク戦後のフラッシュインタビューでも飄々とした受け答えが話題になった。

 イラク戦前には今大会2度目の選手ミーティングが行われ、1度目のミーティング以上に各選手がフランクに話す機会が設けられた。高井は「みんな気さくに喋ってくれますし、ありがとうございますと伝えた」と明かす。

 MF山本理仁(シントトロイデン)ら年上世代は、高井を温かく見守る。選手ミーティングの発言には「初参加じゃないだろって(笑)。しかももう5試合目なんだけどって。やじ入れてやりましたよ。もう大会終わるぞって。まぁあいつらしいです」。だが、山本はプレーヤーとして高井を高く評価した。

「僕なんかがどうこう上から言うのもあれだけど、若いけどちゃんとぐいぐいこっちにも要求してくる。オフ・ザ・ピッチでも舐めてる感を出してくれています(笑)。その度胸もすごいと思う。やっぱりフロンターレで出ているだけあって、技術やカバーリングのところはうまく対応していた」

 昨年9月にバーレーンで行われたU23アジア杯予選で大岩剛監督体制に初招集された。その後は代表から遠のいていたが、今年3月の国内活動で2度目の選出。今大会で大きく躍進を遂げた。パリ五輪でさらなる成長に期待が懸かるが、まずはアジア制覇。大きな経験値を手にし、成長に弾みをつけていきたいところだ。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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