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「同期にはかけがえのない絆がある」荒木遼太郎の13番を着けた山田大樹の思い

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荒木遼太郎の13番を着けるGK山田大樹

[5.3 AFC U23アジア杯決勝 日本 1-0 ウズベキスタン ドーハ]

 倒れた同期に寄り添い、表彰式ではそのユニフォームを纏った。U-23日本代表GK山田大樹(鹿島)は表彰式でFW荒木遼太郎(FC東京)の“背番号13”を着け、選手23人全員を強調。「誰かに着てくれと言われたので」と照れを隠しながら、少しだけ笑みをのぞかせた。

 後半32分、荒木と飛び出した相手GKが衝突。荒木は頭を強打した。様子を見ながらプレーを続行すると、後半アディショナルタイム1分過ぎに先制点をアシスト。だが、同14分過ぎにメディカルスタッフによってプレーを止められ、担架で運び出された。

 日本は1点を守り切って優勝を果たした。だが、表彰式に荒木の姿はない。大岩剛監督によると、脳震とうの疑いで病院に向かったという。表彰式は選手22人のみだった。「最後までやりたかっただろうし、みんなと喜びたかったと思う」。山田が荒木の13番を着用し、23人の背番号が揃った。

 荒木のユニフォームは「しょうがなく着ました」。そう語る山田だが、2020シーズンに鹿島アントラーズに加入した同期への思いは強い。

 鹿島の同期4人、山田、荒木、MF松村優太、FW染野唯月(現東京V)はこれまでU-23日本代表の活動を経験してきた。今回選出されたのは山田と荒木の2人。開幕前には「まずアジアを通過しないといけない。僕とタロウでしっかりと結果を出してつなげていきたい」と言及。そして、見事オリンピックへの切符を掴み取った。

 優勝決定後、改めて同期への思いを語る。

「同期というのはやっぱりかけがえのない絆がある。今回マツとソメが日本でがんばっているけど、オリンピックの期間まで今後序列がどうなるか、そういうのは競争。今回、僕とタロウが入っているが、次どうなるかまったくわからない。僕もそこに向けて、まずはチームに戻ってしっかりやりたい」

 今大会を優勝という形で終えたが、山田は23人のなかで唯一出場機会を得られなかった。「もちろん試合には出たかった。でも、この経験を今後のサッカー人生に生かすも殺すも自分次第。帰ってからもっと成長して、次は僕が試合に出て勝たせられるくらいの力をつけて戻ってきたい」。パリ五輪に向けて、新たなスタートを切る。今度は同期とともに、日の丸を着けて活躍するつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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