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[五輪]反町ジャパンは本当に「最強の18人」だったのか?

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[8.10 北京五輪GL 日本1-2ナイジェリア 天津]

 「まったく悔いは残っていない。ただ、勝ち点3が取れなかった。今までやってきたどの試合よりも、悔いはない」。2連敗で早々にグループリーグ敗退が決まった日本の反町康治監督は試合後、そう語った。もし、これが本音なら、なんと志の低い指揮官だったのだろうか。
 反町監督が「最強の18人」と言ったメンバーは、チームとしての形も、戦う姿勢も、最後まで見せることはなかった。これほどフラストレーションのたまる大会もなかった。
 天津で戦った反町ジャパンには、アジア予選の厳しい戦いを通じて熟成されてきたチームの影も形も残っていなかった。反町監督は「サッカーは前に進むもの」として予選後の流れを重視した。5月のトゥーロン国際大会での戦いぶりを高く評価したのは理解できるが、このときのメンバーに内田篤人、安田理大、長友佑都、香川真司、豊田陽平の5人はいなかった。両サイドバックと左MFというレギュラーポジションのうち3つは、トゥーロンからも変化していた。壮行試合2試合は現メンバーで戦ったとはいえ、左サイドはほぼぶっつけ本番の状況だった。
 機能しない1トップ。中盤のゲームメイカーの不在。反町監督は「メンバー選考について、オーバーエージについても、みなさんはご存知だと思う。ここまでの過程で悔いは残っていない。このメンバーを選んで、ここでみんなで戦って、ここまでの2年間に満足している」と話したが、一度はオーバーエイジ枠で招集しようとした大久保嘉人、遠藤保仁の代役をなぜ呼ばなかったのか。本当に今回の18人が「最強」なら、最初からオーバーエイジを使う必要はなかった。不安があったから、大久保、遠藤を加えようと考えたのではないか。実際、6月のカメルーン戦後には「ゴールを取るところの部分での上積みは必要」と自ら話していたのだ。
 チームの“駒”として働ける選手はそろっていても、個人で流れを変えられる選手もいなかった。ナイジェリア戦では途中出場の豊田が意地の1得点を決めて結果を残したが、ベンチに切り札となる選手がいなかったのは、1点を争う世界大会では致命的だった。
 13日の最終戦で対戦するオランダはアメリカと2-2で引き分け、2試合を終えて勝ち点2となった。日本戦での勝利がグループリーグ突破の最低条件だが、2点差以上で勝てば、自力での準々決勝進出の可能性も残っている。
 反町監督は「選手には、メダルに値するパフォーマンスだったと言ってあげたい」と語った。ならば、大量得点を狙ってくるオランダとの最終戦で、その言葉に見合うだけの試合を見せてほしい。

(文・西山紘平)

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