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痛恨のクリアミス、闘莉王「あれでいっぱいいっぱい」

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[10.15 W杯アジア最終予選 日本1-1ウズベキスタン 埼玉]

 信じられない光景だった。相手のロングボールをヘディングではね返そうとしたDF田中マルクス闘莉王(浦和)のクリアが前方に飛ばず、真上に高々と上がる。素早く拾ったMFマグデーエフが右サイドに展開すると、ボールを受けたMFカパーゼはGKとDFの間に低いボールを通し、走り込んだFWマクシム・シャツキフが左足で押し込んだ。ホームで許してはいけない先制点。しかもミスからの失点だった。

 闘莉王は「あれでいっぱいいっぱい。当てるのでいっぱいいっぱいだった。上に上がってくれてよかったと思ったけど」と淡々と語った。精一杯のクリアだった。しかし、右ひざと左足首に爆弾を抱える闘将にいつものジャンプ力がなかったのも事実。岡田武史監督は無理を承知でピッチに送り込んだが、そのツケがあと一歩の伸びや最後の部分での粘りを欠くという形で回ってきた。

 終盤は前線に張り、勝ち越しゴールを狙った。後半45分にはMF中村俊輔の左クロスからヘディングシュートを放った。しかし「もうちょい叩けばよかった。大事にしたところでGKが先に動いてしまった」と、GKが横っ飛びでかき出した。前線で体を張ってロングボールを落とし、チャンスをつくろうとしたが、ウズベキスタンの強固な守備を崩し切れなかった。「自分が(ボールに)触ることはできていたし、もう少しいい仕事ができれば」と唇をかんだ。「これを次につなげられるように。次、勝てば意味ある勝ち点1になる」。悔やまれる結果になったのは間違いないが、落ち込んでいる時間もない。11月19日、アウェーでのカタール戦。そこで敗れるようなことがあれば、南アフリカが大きく遠ざかることになる。

(取材・文 西山紘平)

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