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人一倍の悔しさ胸に、中澤が豪州狩りへ

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 岡田ジャパン不動のCB中澤佑二(横浜FM)が、明日に迫った因縁のオーストラリア戦に向けて、戦闘モードにスイッチを入れた。
 「いよいよという感じ」。練習後、静かに闘志を燃やした。「僕はやれるだけのことは、出来る限りやってきた。チームとしてもやるだけのことはやったし良い状態だと思う」と今の日本代表に手応えを感じている。

 3年前、思い出すのも、言葉にするのも嫌なくらいの逆転劇を喰らわされた。中澤はW杯ドイツ大会の全試合にフル出場。初戦の豪州戦では、1点をリードしつつも試合終了直前に3点を返される信じられない逆転劇を見せつけられ敗戦。日本は結局グループリーグで敗退し、帰国後、中澤は悔しさの余り日本代表からの引退を公言した。そして時は流れ、くすぶっていた気持ちに再び火をつけ、オシム体制になった代表に復帰。今では岡田ジャパンのキャプテンマークを巻くほどの存在になった。あれ以来、あの映像は目にしていなかった。しかし、今オフに訪れた豪州で、あの忌まわしい記憶を掘り起こされたという。「オフにオーストラリアに行った際に、スポーツショップであの試合のVTRが流れていて、イラっとした。見ちゃった…みたいな感じ」。

 W杯の敗戦で代表を引退するほどのショックを受けた中澤は、この試合に並々ならぬ思いで臨む。それが1月2日から自主トレ開始という、今季の動きだしの早さに象徴されている。「出来る限りのことはやってきた」という言葉が、この一戦にかける思いを表している。「(相手の)ビデオは見ていないし、相手は誰が出るかも分からない。相手がどのように仕掛けてきても、臨機応変に、バタバタせずに対応していく」。3年前の敗戦を糧に闘将はこの試合に挑む。「セットプレーでは奇襲もかけたい。練習でやっているようなことと、思いつきの部分でも攻めに顔を出したい」。中澤は、4日のフィンランド戦で見せたような神出鬼没の動きで、豪州狩りへ乗り出す。

(取材・文 山口雄人)

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