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日本代表候補合宿、岡田監督コメント

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 日本代表候補合宿は9日、都内で体力測定を行い、2日間のショートキャンプを打ち上げた。前日夜には、福島大陸上部の川本和久監督による走り方に関する講義も行われ、選手には「より速く走るためのコツ」も伝授された。
以下、岡田武史監督コメント

岡田武史監督
「昨日、今日は体力測定をやるのがメイン。その中で夜も空いているので、去年に引き続いてローパワーの説明をしてもらって、福島大の川本(和久)先生にも講義してもらった。オランダ遠征で全員の走りを映像に録っていて、それを川本先生に見てもらったら“走り方のコツがあるよ”ということで、昨日の夜に30分ぐらい話をしてもらった。みんなが考えるきっかけになれば。全員の走り方を矯正するつもりはない」

―体力測定の数値は去年から向上しているのか?
「まだ結果報告は受けていない。ただ、データをちらちら見たら、伸びている選手もいるみたいだった。今週末にまとめて結果を受ける」

―09年を振り返ると?
「選手たちがW杯出場権を勝ち取ってくれた。勝ち取って当然だと思うが、W杯に出るというのは、他の地区の予選やプレーオフを見ても、すごいことだと感じるし、プレッシャーもある。選手たちには感謝したい。大会に向けて何をしなくちゃいけないかはハッキリしたし、それをやればチャンスがあると実感として持てた。充実した1年になった」

―チームを強化しながら、なおかつ結果も求める1年だったと思うが?
「両方とも一緒。勝つためのサッカーが理想のサッカーで、我々にとっては一致したもの。志を持ったサッカーが日本が勝つためのサッカー。難しくはなかった。勝って当然という風潮、プレッシャーがあってこそ、力を伸ばせることもある。重力がなくなると骨がダメになるのと一緒で、重力があることで鍛えられる。外部からのものがないと、なかなか自分ではプレッシャーをかけられない。その中でたくましくなる」

―対戦国の分析はすでに始めているのか?
「(抽選会から)帰ってきて翌日からホテルに入っているので、分析はまだ。レポートはもらったけど、まだ読めていないので、抽選会と同じくらいの情報しかない」

―本大会では高地での試合もあるが、スイスでの事前キャンプに予定の変更はあるのか?
「一番標高の高いヨハネスブルクの約1800mを想定して、キャンプ地を考えていた。ブルームフォンテーン、ルステンブルクは1400mと1500mでラッキーだと思っている。もともと1800mを想定して、1800mのスイスのキャンプ地を確保している。Jリーグが終わったら少し休ませて、壮行試合をやって、スイスに入る。南アフリカに入るまでに2試合、これは対戦相手がキャンプしている低地でやって、(南アフリカのベースキャンプ地の)ジョージには初戦の6、7日前に入れればなと思っている」

―残り半年での強化のポイントは?
「やるべきこと、方向はハッキリしている。箇条書きできるぐらいだし、選手のところには実際に貼ってある。それはオランダ遠征から変わっていないし、スケジュールも決まっている。あとはやるだけ。6ヵ月間、いかに選手がトライし、チャレンジし続けるか。我々はそのサポートをする。それをやれば必ず結果を出せると信じている。万全の状態で臨みたい」

―あと半年か、もう半年か?
「あとも、もうも、ない。ただの半年」

―W杯は子供たちにも夢を与える舞台だが?
「欧州のプレーオフを見ても、超一流の選手があれだけ喜んだり、悲嘆にくれたりするほどサッカーマンにとって最高の夢の舞台。そこでまた指揮を執らせてくれるというのは幸せなことで、光栄なこと。そういうサッカー仲間みんなに感謝したい」

―W杯で思い描く夢は?
「夢じゃない。目標ですから。目標は世界の強豪を破ってベスト4に入ること。日本の存在を世界に知らしめたい」

―組み合わせが決まって選手の雰囲気に変化は?
「特に変わりはない。ただ、講義もすごい真剣に聞いていたし、ちょっとした緊張感や本大会の実感がわいてきたのかなとは思う」

―対戦相手を分析し、戦い方を変えることもあるのか?
「日本人が世界のトップレベルに勝つためにやってきた。基本的なことを変えるつもりはない。もちろん直前の合宿になれば、例えばエトーは左に流れてくることが多いから、できるだけ右に追い込もうとか、セットプレーはこういうパターンがあるからこうしようとか、そういうことも考える」

―選手指導で気を付けていることは?
「素でやっている。性格上、怒っているのにほめてもすぐにバレるタイプ。怒っているときは怒るし、いいときはほめるし、シンプルに付き合っているつもり」

―川本先生の助言は難しい内容?
「簡単だけど難しいというか。力を入れず、重心を移動させるような走りの方がスムーズで速いというのがポイント」

―瞬発力を上げるため?持久力を付けるため?
「両方ある。陸上のプロから見れば“こんな無駄な走りをしているのか”ということで、もっとスムーズに速く走れると」

―90分間、ハイプレスを続けるためでもある?
「我々が挙げるポイントは大きく3つあって、走り勝つ、ボール際で競り勝つ、技術の精度を上げる。走り勝つのはひとつの目標だし、南アフリカ戦のデータを見ても、かなりのレベルに上がっている。1人がプラス1km走ろうと言っているが、それをクリアした選手も6人ぐらいいた」

(取材・文 西山紘平)

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