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「僕たちはボールを握りたいチーム」J王者に真っ向勝負、横浜FMが手にした勝ち点1の価値

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DF中澤佑二は攻撃にも顔を出し、驚異的な運動量を見せた

[4.8 J1第6節 横浜FM1-1川崎F 日産ス]

 互いにボールポゼッションを重視するチーム同士の対戦は川崎Fに“一日の長”があった。今季からアンジェ・ポステコグルー監督が就任し、独特なサッカーを展開する横浜F・マリノスは昨季王者に対しても真っ向からぶつかった。

 最終ラインを高く設定し、攻撃時はGK飯倉大樹がハーフウェーライン近くまで上がってビルドアップに参加。DF中澤佑二、DFミロシュ・デゲネクの両センターバックがサイドに開き、DF松原健とDF山中亮輔の両サイドバックは中に絞ってボランチに近い位置で攻撃を組み立てる。全体をコンパクトに保って中盤で数的優位をつくる狙いだったが、前線からのプレッシングは川崎Fの個々の技術の高さにいなされ、リスクを冒したハイラインの背後をうまく突かれた。

「僕たちはボールを握りたいチーム。あそこまで握られたのは初めての感覚だった。フロンターレ相手にはもっと突き詰めていかないといけない」。そう振り返る山中は「(相手に)ショート(パス)、ショート(パス)でつながれて、ハイラインもずるずる下がって(相手が)オフサイドに引っかかることも少なかった。うまいなとやっていて感じた」と率直に認める。

 前半はたびたび決定的なピンチを招き、ポストに救われるシーンもあった。前半のシュート数は横浜FMの3本に対し、川崎Fは10本。苦しい前半の45分間だったが、後半はボランチのMF天野純が高い位置を取り、4-1-4-1気味にシステムを変えてプレスも徐々にハマるようになった。

 前半はトップ下でプレーし、後半は天野と横並びになったMF大津祐樹は「前半は一人ひとりのポジショニングが遠かった。後半は修正して距離感近くプレーしようと。一人ひとりのポジショニングが近くなって、やりやすくなった。みんなで話して改善できたのは良かった」と、試合の中で修正できたことを前向きに捉える。

 後半のシュート数は7本対9本。得点はセットプレーからだったが、流れの中でFWウーゴ・ヴィエイラにも決定機が生まれた。後半は足の止まり始めた川崎Fを運動量でも上回り、「僕らは走るチーム。データ的にも走っているし、相手は後半落ちてくると思っていた」(山中)と狙いどおりの展開に持ち込んだが、終盤はMF齋藤学が入ってきた川崎Fに再び流れを引き戻され、1-1のままタイムアップを迎えた。

 終盤はビッグセーブの連発だった飯倉は「今日の前半は自分たちのやりたいことをフロンターレにやられた。いい勉強になった」と指摘。「もうちょっとボールをキープして自分たちの時間を増やせたら展開は違った。後半は相手も疲れてくるし、うちがボールを持てる。後半はチャンスもつくれたし、後半少し巻き返せたのは収穫かな」。チーム作りはまだまだ道半ば。ポゼッションによる攻撃力ではJ屈指の川崎F相手につかんだ勝ち点1には数字以上の価値がありそうだ。

(取材・文 西山紘平)

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