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「横浜FMが真の王者だと感じた」神戸時代…タイ出身ティーラトンが値千金弾!

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タイ出身で初めてJリーグタイトルを制した横浜F・マリノスDFティーラトン

[12.7 J1第34節 横浜FM 3-0 FC東京 日産ス]

 優勝に大きく近づく先制ゴールを決めたのは、タイからやって来たひたむきなサイドバックだった。横浜F・マリノスDFティーラトンは「僕にとってもチームにとっても家族にとっても嬉しいこと。一人の力ではなく、周りのサポートがあって実現できた。感謝しかない」と喜びを語った。

 前半26分、MF和田拓也からのパスに迷わず左足を振り抜くと、相手に当たったボールがゴールマウスに吸い込まれた。「あのゴールで苦しい流れからいい流れになった。和田選手が良いボールを出してくれたし、ラッキーなゴールだったと思う」。照れ笑い気味に振り返った29歳は「チームがいい結果を出せてうれしい」とさらなる笑顔を見せた。

 タイの名門であるブリーラム、ムアントンでプレーしてきたティーラトンは昨季、ヴィッセル神戸でJリーグ挑戦をスタートさせた。「日本でプレーする前は、川崎フロンターレが一番のチームだと思っていた」。AFCチャンピオンズリーグ(AFC)での対戦経験もあったため、当時タイトルを取ったばかりの王者に憧れを持っていたという。

 ところが、初めて日本でのシーズンを過ごしていくにつれてその認識は裏返った。対峙して衝撃を受けたのは他でもない、アンジェ・ポステコグルー監督が就任したばかりの横浜FMだった。「4回対戦してほぼ完敗だった」というDFは、その年残留争いを繰り広げたチームを「一番すごいのはたぶん横浜F・マリノスなんだと思った」と率直に振り返る。

 そんな出会いがあった翌年1月、憧れていた横浜FMからオファーを受けた。「お話があって本当に驚いた。自分が横浜FMのサッカーができるのか、できないかもしれないという不安もあった」。そんな想定どおり、加入したシーズン序盤は負傷の影響に加えて、独特の戦術に適応できずに苦しんだ時期もあった。

 それでも、目の前の苦境はひたむきな努力で乗り越えた。トレーニングの映像を自宅で毎日のように確認し、細かく指定されたポジショニングを頭にたたき込んだ。そして次のトレーニングで実践し、身体に染み込ませていった。また、課題となったフィジカル面での強化にもイチから取り組んだ。

「横浜FMのコンディショニングコーチの安野さん(安野努コーチ)が最初から身体を作り直してくれて、対人の強い体にしてくれた。自分は小さいし、技術もそこそこ下のほうだけど、誰と当たっても大丈夫な強い身体と強いメンタルにしてくれたことでこうなれた」。真摯にスキルアップを続けた結果、シーズン中盤からは一度もレギュラーを譲ることはなかった。

 そうして終盤の好調を牽引し、最後はリーグの頂点にまで上り詰めた。「ここまで来られるとは思わなかったし、ACLにいければいいなと思っていた」と控えめに振り返ったティーラトンは「今年こうやって優勝できたので、去年『マリノスが真の王者なんじゃないか』と感じていたことが実現できた。マリノスに来ることができて良かった」と幸せそうに語った。

(取材・文 竹内達也)
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