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新スタで舞った広島DF荒木隼人がサンタナ完封「相手のメンバーを見た瞬間に分かっていた」

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DF荒木隼人

[2.23 J1第1節 広島 2-0 浦和 Eピース]

 終始アグレッシブな姿勢を貫いたサンフレッチェ広島が、新スタジアムで迎えたJリーグ開幕戦を制した。浦和レッズに自由を与えない激しいプレッシングが一つの勝因となったが、そうした前傾姿勢は最終ラインの高いクオリティーによって支えられていた。

 特に際立っていたのはDF荒木隼人の対応だった。浦和は前半、新戦力FWチアゴ・サンタナにハイボールを蹴ってきた中、荒木は空中戦でことごとく勝利。それも単に高さや強さで競り勝つというだけでなく、クリアしたボールを味方につなげることで二次攻撃のリスクも潰していた。

「やっぱりターゲットになってくるのはサンタナ選手だったし、相手のメンバーを見た瞬間にそれはわかっていた。厳しく行くことは心掛けていた」

 そう話す荒木だが、ただ強く対応するだけでなく、相手に狙いを絞らせない試みも続けていたという。「自分が深い位置にいた時はオフサイドの駆け引きしたり、(サンタナが)ボールを待っているだけでいいという状況にならないことも心がけていた」

 またクリアボールを味方につなぐのは、昨季から継続して意識していたこと。「チームの練習でも大きく蹴ってきたボールをただクリアするのではなく、味方につなぐのは去年から継続していた。いくつか出せたのは練習の成果だと思う」。昨季の中盤戦はクリアが奪われ、二次攻撃でピンチを招く試合もあったが、この日は一昨季のJリーグ得点王を相手にスキを与えなかった。

 荒木ら守備陣によるそうした奮闘の結果、浦和は後半に入ってロングボールを使うのではなく、自陣からのビルドアップにより注力。広島のハイプレッシャーがハマりやすい形となり、2点目につながる流れを手繰り寄せていった。

 プロ1年目の2019年以降、Jリーグでは継続的にパフォーマンスを発揮してきた荒木だが、日本代表に選ばれたのは19年のキリンチャレンジカップと22年のEAFF E-1選手権の2回のみ。19年は出場機会なしに終わった後、22年も1試合の出場にとどまっており、再び挑戦する機会を得たいという思いは強いという。

「やはり代表は目指したい。そのためにはもっともっとビルドアップの部分であったり、得点を取ることができれば見えてくると思う」。空中戦を強みとする荒木だが、プロ入り後の得点数は毎年1〜2点。この日もセットプレーのシュートチャンスを活かせなかったことを悔やみ、「去年のように最後の最後で決めるのではなく、今年は早く点を取りたい」と力を込めた。

 またCBというポジション柄、チーム成績も評価には大きく直結するはずだ。今季は高校時代を過ごし、大学経由で帰ってきたクラブにとって重要な新スタジアム元年。「長い歴史をかけて作ってきて、たくさんの方の尽力があってできたスタジアム。そこに立たせてもらっている選手として、感謝の気持ちを忘れず、結果で恩返ししたい」と強い決意で結果を残す構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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