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甲府が新監督・新加入選手会見「J1復帰は通過点」

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 4年ぶりにJ1へ復帰するヴァンフォーレ甲府が14日午前、山梨県甲府市内で新監督、新加入選手、スタッフ発表記者会見を行い、クラブの海野一幸社長をはじめ、三浦俊也新監督や清水から加入した元日本代表MF伊東輝悦ら新加入選手が出席。新シーズンへ向けて抱負を語った。

 昨年はJ2で19勝13分4敗の素晴らしい成績を残し2位。得点王に輝いたFWハーフナー・マイクを中心にリーグトップの総得点71をたたき出してJ1昇格を勝ち取った。注目されるJ1への戦いへ向けて、佐久間悟GMは「J1復帰は通過点に過ぎない。目標へ向かって、未来に挑戦する1年にしたい」と言い切った。J1に定着するクラブが将来的な目標。そのスタートとなる11年へ掲げた目標を佐久間GMは「J1残留。可能であれば10位以内に挑戦したい」と語り、「13勝、勝ち点39、総得点51、総失点44」という具体的な数字まで口にした。

 親会社を持たない小さな地方クラブである甲府のJ1への挑戦。それが簡単なことではないことはわかっている。ただ、海野社長は言う。「前回(の昇格)は運があった。今回は体制を立て直して上がったと思っている。残留し、定着するクラブになる」。目標達成のために掲げたキーワードは「団結」「挑戦」「飛躍」だ。海野社長は「団結し、挑戦すれば、飛躍はついてくる」と期待する。昨年はJ1昇格を勝ち取ったものの、チームはひとつになりきれなかったという。だからこそ、海野社長は「本当にしっかり団結していこう」と選手に訓示し、より厳しくなるJ1への戦いへ向けてひとつになることを要望した。

 戦力補強は苦戦した。甲府には残留争いをするイメージがあること、また身の丈経営をするクラブは選手が希望する複数年契約に応えることができず、契約を逃した選手もいるという。それでも「即戦力であること」「レギュラーとして定着した実績があること」「各ポジションで得点力を有すること」、そしてチームのキャプテンや選手会長を務めた実績のある者など「人格的に評価されていること」をポイントに妥協せずに交渉し、元日本代表の伊東やDF市川大祐、そして昨年湘南でチーム得点王だったFW阿部吉朗や福岡で15ゴールを挙げているMF永里源気ら実力者の獲得。佐久間GMは新シーズンへ向けて「甲府はボールを動かすことに対して勇気も自信も持っている。DF陣はボール扱いよりも強さや高さを求めたが、SB、中盤の選手はみんなフットボーラー。守っているだけでなく、ボールを保有する時間がある。これが(甲府の)特別な強さだと思う」と力をこめた。

 14日午後からチームは始動し、1月17日からは和歌山キャンプを行う。「J1定着するためには経験不足はリスクになる。リスクを最小限にするために来てもらった」と佐久間GMが評する三浦新監督がどのようにチームをつくりあげていくのか。大宮、札幌、神戸とJ1クラブを指揮した経歴を持ち、守備組織の高いチームづくりに定評のある三浦新監督だが「守備的ばかりでは残留は難しい」と極端な守備戦術の導入は否定。昨年の甲府の特徴のひとつだったボールをすぐに奪い返すプレッシングと引いて守る戦いを試合のなかでバランスよく行うチームを目指すようだ。加えて攻撃面については、J2で表現したほどボールを保有することは難しいと説明した上で「昨年はよく得点を取れるチームだった。これは継続したい。(J2得点王の)ハーフナーはJ1で当然通用する選手。いいクロスが上がらなければならないが、(そのために)市川、内田、永里を取ったのもある。チームがクリエイトしてくれれば彼も昨年同様取れると思う」と語った。

 「財政規模が大きいクラブが上位にいく可能性が高い」と認めた新指揮官だが「サッカーは番狂わせのスポーツ。イタリアでいうプロビンチャのようなクラブを率いて山梨を盛り上げたいと思った。チームが勝つために、甲府のために全てをやること。そのためには何でもやるという覚悟」。その決意をチームとともにピッチ上で表現し、最大の目標であるJ1残留を果たす。
[写真]甲府新監督、新加入会見。後列左からフジネイ、犬塚、岡、小林。前列左から内田、伊東、三浦監督、冨田、永里。(阿部、市川は会見欠席)
(取材・文 吉田太郎)
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