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2得点を演出した宇佐美、「サポーターの後押しが大きな力に」

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[7.10 J1第3節 大宮2-3G大阪 NACK]

 勝利はもちろん、少しでも結果を残して旅立ちたい。そんな思いがこの日も結実した。ドイツの名門バイエルンへの移籍が決まっているガンバ大阪のMF宇佐美貴史が、アウェーの大宮戦で2得点を演出する活躍を見せ、3-2勝利に貢献した。

「ここまで来てしまったという感じです。試合を噛み締めてやりたいと思っている。自分としては寂しい気持ちがあるので。試合中、自分の名前を呼んでくれたり、応援する歌を歌ってくれたりして、自分の力になっている。サポーターの後押しが大きな力になりました」

 13日のホーム神戸戦を最後に、ドイツに渡る宇佐美。この日の大宮戦はG大阪の一員としてラストの2試合目だった。当然、気合が入っていた。そんな思いをさっそく行動につなげた。前半5分、右サイドから低くて速い絶妙なクロスを入れ、FWイ・グノの右足ゴールをアシスト。「グノがいい動きをしてくれた。さほどマークが来てなかったので、入れればチャンスかなと思った。イメージ通りのボールが蹴れたけど、グノが決めてくれたおかげです」と謙遜気味に振り返った。

 この日も左MFで先発したが、ゴールを決めた前節の浦和戦同様に、右にも動いてあらゆるところに顔を出した。自らのアシストで幸先良く先制に成功し、主導権を奪ったG大阪だったが、大宮に苦しめられた。一瞬の隙を突かれ、前半45分に同点に追いつかれると、後半14分には逆転される苦しい展開となった。しかし、そこで再びこの男が魅せた。

 後半30分、右サイドを攻略した元日本代表DF加地亮が絶妙クロス。ニアサイドで待っていたのが宇佐美だった。身を投げ出すようにヘディングシュート。これは大宮DFをかすめたが、枠は捉えていた。当たらなければ入っていた可能性が高い。こぼれ球をDF中澤聡太が押し込み2-2の同点に。「加地さんがしっかりと見てくれていた。自分でゴールを決められたら良かった。よくソウタくんが最終ラインから上がっていたと思う」。宇佐美は仲間を称えたが、逆サイドまで顔を出す積極性が、同点弾をお膳立てするヘディングシュートにつながったといえる。

 6月27日にバイエルン移籍を発表してから前節の浦和戦でゴールを決め、この日は2得点を演出と、まさにフル回転。G大阪に確実に“宇佐美の足跡”を残している。だが、まだまだ満足はしていない。この日はシュートは1本で無得点だったため、「勝てたのは良かったけど、個人としては納得していない」と笑顔は少なめだった。お世話になったG大阪に、1点でも1アシストでも多くの恩返しをしたい気持ちがあるからだ。

 いよいよ、13日のホーム神戸戦が、G大阪でのラストマッチとなる。「1分1分を噛み締めながらしっかりとプレーして、忘れないように、そういう試合にしたい。次も勝てるように、それしか考えてないです。自分が点を取って勝てれば、それが一番いいですね」と宇佐美は“ゴール締め”を目標に掲げた。泣いても笑っても、G大阪でのプレーは、ひとまずあと1試合。記録も記憶も残して、ドイツに旅立つつもりだ。

[写真]2得点に絡んだ宇佐美

(取材・文 近藤安弘)

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