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「雰囲気を力に換えた」ゴールで先手。横浜FMユースが8年ぶりにJユースカップ制覇!

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8年ぶりにJユースカップを制した横浜F・マリノスユースイレブン

[11.18 Jユースカップ決勝 横浜FMユース 2-1清水ユース ミクスタ]

 18日、2018Jユースカップ第26回Jリーグユース選手権大会の決勝が福岡県北九州市のミクニワールドスタジアム北九州で開催され、横浜F・マリノスユースが2-1と清水エスパルスユースに快勝。夏の王者を下し、8年ぶり2度目の栄冠に輝くこととなった。

「ちょっとみんな、いつもと様子が違いましたね」

 西谷冬樹監督がそう言って笑ったように、決勝独特の空気感の中で序盤は両チームから硬さを感じる展開となる。いつもより慎重な判断も目立つ展開となったが、アクティブなプレーに大喝采を送るサポーターの声に押されるように、徐々に「決勝の雰囲気を力に換えるような」(西谷監督)プレーが増えていく。明らかに横浜FMのボール回しのリズムが良くなり、清水が徐々に押されていく流れとなる中で、まさに「雰囲気を力に換えた」ゴールが生まれる。

 前半38分、試合を動かしたのは今大会の得点王レースでトップに並んでいたFW栗原秀輔(3年)だった。ドリブルで果敢にボールを運び、針の穴を通すようなシュートコースへミドルレンジから思い切ってゴールを狙う。これが見事にゴール隅へと決まって、先制ゴールとなった。

 かつて栗原はストライカーらしいストライカーというタイプではなかったはずだが、このゴールシーンでのプレー選択は完全にストライカー。西谷監督はこの一発を「今まで観たことのないようなゴールの形だった。この大舞台がいつも以上の力を出させてくれたと言えるし、選手の潜在能力はまだまだあるんだと教えてもらった」と満面の笑顔で振り返った。

 対する清水にとっては痛恨の失点だった。実はこの失点直前に交代を準備しており、その隙間で生まれてしまったゴールである。相手DFからのビルドアップを制限できていなかったため、FWを入れ替えて高い位置からの守備を実践させようとしていたタイミングだった。さらに前半45分にCKのこぼれ球から絶好機を迎えるも、MF中里圭佑(1年)、FW川本梨誉(2年)のシュートはいずれもゴールバーを直撃してゴールならず。明暗を分けた攻守の二場面が清水に重くのしかかることとなった。

 後半に入ると清水も確実に巻き返してはいたが、今大会ここまで1試合平均得点『5』という驚異的な数字を残してきた横浜FMの攻撃力が再び火を噴く。後半22分、右サイドでボールを受けた右SB木村卓斗(3年)がカットインから左足シュート。「自分で決めたかった」と語った超攻撃的SBの一発だった。

 清水も直後の24分にオウンゴールから1点を返し、以降も猛反撃を継続する。だが、横浜FMも「全員が戦えていた」と栗原が振り返ったとおり、隙は作らない。結局、2-1のまま試合は終了。横浜FMが8年ぶり2度目のJユースカップを獲得することとなった。

 勝った横浜FMの西谷監督は押し込まれ始めた自チームを「ドキドキしながら観ていた」と笑って振り返りつつ、「夏までの彼らだったら、相手の勢いに呑まれてしまったと思うけれど、今日は違った。そこが成長した部分だったと思う」と教え子たちの奮起に感無量の様子だった。

 一方、敗れた清水の平岡監督は「横浜FMさんをリスペクトさせ過ぎてしまった自分の采配ミスだった」と選手たちをかばいつつ、「本当に彼らはよく戦ってくれました。今日の試合も最初こそやられてしまいましたが、途中からは食らい付いてくれた。本当にすごい成長を見せてくれた年だった」と二大会連続でのファイナリストという成果を残した愛弟子たちへの賛辞を惜しまなかった。

(取材・文 川端暁彦)
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