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V候補・国士大、苦戦連続から一歩踏み出す勝利(国士舘大vs早稲田大)

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[5.8 関東大学サッカー1部第6節 国士舘大 1-0 早稲田大 西が丘]

 JR東日本カップ2009 第83回関東大学サッカーリーグは8日、1部第6節3試合などを行った。3位・早稲田大と8位の国士舘大との一戦はMF柏好文主将(4年=韮崎高)の決勝ゴールで国士大が1-0で勝利。今季2勝目を挙げた。

 優勝候補に挙げられながらも1勝1分3敗と苦しい戦いが続いた国士大が全員で勝ち点3をもぎ取った。特に押し込まれた序盤のピンチを全員で死守。決勝ゴールを決めた柏は「全員で戦うということを見せることのできた試合だった。粘って戦えた」と胸を張った。
 この日の立ち上がり、主導権を握っていたのは早大だった。3連勝のあと、上位対決で2試合勝ち星がなかっただけにどうしても勝利のほしい早大。続けざまのCKなどからゴールへなだれ込もうとする。12分には右サイドを切れ込んだMF奥井諒(2年=履正社高)がPKを獲得。絶好の先制機を迎える。
 だが、キッカーのDF野田明弘(3年=広島ユース)の右足から放たれたPKはクロスバーを直撃。リードするチャンスを逃してしまう。さらに14分にMF菅田恭介(4年=多々良学園高)がDFをかわして放った決定的なシュートはGK山田賢二(3年=室蘭大谷高)がストップ。26分には左SB中川裕平主将(4年=四日市中央工高)の左クロスを受けた1年生FW富山貴光(矢板中央高)が巧みにマークを外してシュートに持ち込んだが、このシュートも国士大DF天野恒太(4年=常葉橘高)の好守によって防がれてしまった。攻撃の核・MF松本怜(4年=青森山田高)を負傷で欠く早大の攻撃はあと一歩のところで決め手を欠けた。

 「連続のCKなどあの時間に決められていたら分からなかった」と国士大・細田三二監督。だがゴール前での集中力が切れなかった国士大は展開力に優れた08年U-19日本代表MF吉野峻光(2年=静岡学園高)や運動量豊富なMF佐藤優平(1年=横浜FM)らを軸に反撃する。そして32分、右サイドを抜け出した佐藤優からのパスを受けた柏がフェイントでDFを外し、右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。先制点で勢いづいた国士大は吉野の好パス、そしてオーバーラップした右SB大竹隆人(3年=三菱養和SCユース)がFW菊池亮(4年=遠野高)とのワンツーからシュートとチャンスをつくる。
 流れを自らに傾けたのまま後半を迎えた国士大は、16分に全日本大学選抜MF伊東俊(4年=青森山田高)を投入。カウンターから伊東が独走するなど、CB佐藤由将(4年=横浜FM)中心とした堅い守備からカウンター攻撃を繰り出した。試合終盤はDFの裏を狙って攻撃を仕掛けてくる早大に左サイドからチャンスをつくられる場面もあったが、CBを中心に守りきった。

 昨年は3年生主体のチームでリーグ2位。天皇杯4回戦・鹿島戦ではPK戦に持ち込むなど国士大は高い評価を受けた。昨年活躍した3年生が最上級生となった今年は優勝の期待がかけられているが、蓋を開けてみると大苦戦。卒業後のJクラブ入りを意識する選手たちがやや自分勝手なプレーに走るなど協調性を失っていた。開幕戦で昇格組の慶應義塾大に0-4で敗れるなどまさかの黒星先行。それでも自主的にミーティングを行うなど意思統一した選手たちは苦しい戦いを乗り切った。佐藤由は「どんなときでもがむしゃらに行こうと。前に比べて一丸になれた」と喜んだ。
 細田監督は「勝っていないチームの弱みで自信がなかった。でもこの勝利で自信になれば。そのためにも次が大事」。真価が問われる神奈川大戦は中4日の5月13日。果たして「V候補」国士大は“大一番”勝利で失った序盤戦の勝ち点を取り戻していくことができるか。

(取材・文 吉田太郎)

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