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つかみ切れなかった「3」(桐光学園高vs鹿島ユース)

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[5.31 JFAプリンスリーグ関東1部第9節 桐光学園高 1-1 鹿島ユース 日産フィールド小机]

 4位・桐光学園高(神奈川)と9位の鹿島アントラーズユース(茨城)の一戦は、1-1で引き分け。前節終了時点で4位から11位までが勝ち点5差の中にひしめく混戦だっただけに勝利が欲しかった両チームだったが、勝ち点1を分け合う結果となった。

 MF土居聖真やMF岡崎孝幸を中心にボールを支配する鹿島ユースに対して、守備ブロックを築いた桐光が迎え撃つ展開。鹿島ユースはU-17日本代表候補の左SB望月理人が再三オーバーラップを仕掛けるなど桐光を押し込むが、U-17日本代表FW神田圭介らがPA付近まではボールを運ぶものの、局面に人数をかけて守る桐光守備網を崩すまでには至らない。それでも鹿島ユースは16分、MF阿部勇治のシュートのこぼれ球を狙ったFW高江洲正宗の右足コントロールショットがゴールポストを叩くなど、得点を予感させる場面をつくっていく。
 だが、古賀聡監督が「攻撃でスピードアップできなかった」と振り返った鹿島ユースに対して、思惑通りに試合を進めていたのは桐光の方だった。DF砂川翔主将とGK峯達也らを中心に無失点で30分を乗り切ると36分、鋭いカウンターから先制ゴールを奪う。左クロスをニアサイドへ走りこんだMF篠崎拓也がヘディングシュートを叩き込んだ。

 前半被シュートわずか1本で失点した鹿島は後半開始直後、土居の右CKをDF中森俊介が合わせるなど得点機をつくるが、桐光は冷静に対応。逆に落ち着いた配球を見せるMF高橋聡一郎らからのパスを起点に、FW坂本楓や途中出場のFW舘坂信也が決定的な場面を迎えた。25分には舘坂の右ロングスローがファーサイドへ抜けたところを篠崎が強烈な左足シュート。だが、いい流れだったこの時間帯に追加点を奪えなかった桐光に対し、27分に2トップを入れ替えた鹿島は直後の30分、土居の右CKを岡崎が合わせて同点に追いついた。
 この後、全日本ユース選手権出場圏内7位以内のため、1部残留する8位以内に近づくために勝ち点3を狙いあった両チーム。だが、結局互いに試合を決めきることができず1-1で試合は終了した。「カウンターを狙いたいのに取ったあとが遅かったし、誰が出て行くのか曖昧だった。勇気を持って前にいけなかった。(試合後)誰かがやらなきゃ結果は出ない、という話をした」と話したのは4位をキープした桐光・佐熊監督。一方、降格圏内9位に位置する鹿島ユースのDF中村開人主将は「(降格圏を脱出し全国へ行くために)全員が一丸となること。ひとりひとりが目標に向かってハードワークしていかないといけない」と残り2試合、混戦を勝ち抜くために必要な条件を口にしていた。
 全日本ユース選手権出場圏内7位・千葉U-18と2部降格となる9位・鹿島ユースとの勝ち点差は「2」と依然大混戦が続くプリンスリーグ関東。この日両チームが得た勝ち点1は、最終的に残留、全国を決めるための価値ある「1」になるだろうか。

<写真>互いに譲らなかった両チーム。写真は桐光学園・高橋と鹿島学園・高江洲
(取材・文 吉田太郎)

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