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[高校総体]苦しみながらも大津が準々決勝へ進出

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[8.4 全国高校総体3回戦 立正大淞南 2-2(PK2-4) 大津 五條市上野公園多目的G]

 最高気温は35℃にまで達していた。ピッチ上には陽炎がゆらめき、おそらく選手たちの体感温度はさらに高いものとなっていただろう。そんなコンディションの中でも、立正大淞南(島根)と大津(熊本)は素晴らしいパフォーマンスを繰り広げていた。

 試合開始直後の3分、立正大淞南の左サイドアタッカー、MF川上遼聖が得意のドリブル突破から、勢いに乗ったまま放ったシュートで大津のゴールを割った。
 実はこのカード、昨年の高校選手権2回戦の再現である。その時は大津が4‐0と大勝し、今回のインターハイ2回戦でも大津は国見に対し完勝している。そのため、立正大淞南はブロックを作り、大津の攻撃を耐えながら攻守の切り替えを早くしたカウンターで活路を切り開いた。
 大津はFW坂田良太へクサビを入れ、前線の選手の個人技で立正大淞南の守備をこじ開けようとするが、大津の持ち味である流れるような攻撃は鳴りを潜め、立正大淞南DF陣の粘り強いディフェンスに苦しめられていた。

 後半の立ち上がりとなる2分、立正大淞南はカウンターから、川上のクロスをFW松田力がヘッドで合わせて2-0となった。だが、大津は後半の頭からMF岩崎司に代えてMF魚野勇気を投入しており、縦へのスピードを持つ魚野が入ったことでチームの攻撃が活性化。ジワリジワリと圧力をかけ始める。
 9分、セットプレーのこぼれ球を坂田が押し込んでまずは1点差とする。なおも攻勢をかける大津に対し、立正大淞南もピンチを迎えたものの、センターバックのDF松田陸とDF竹内洸、GKの秋山祥太が最後のところで身を呈して失点を阻止した。だが26分、大津の選手がペナルティエリア内で倒され、PKの判定。これをU-18日本代表候補MF松本大輝が冷静に決めて2‐2とついに大津が同点に追いついた。
 攻勢を続ける大津とカウンターで勝ち越しを狙う立正大淞南。ともにゴールへの意欲を前面に押し出し見応えのあるゲーム展開となるも、結局2‐2のまま決着つかず、勝敗はPK戦に委ねられることになった。

 大津のU-17日本代表GK藤嶋栄介が2本のPKストップを見せ、ついに激戦に終止符が打たれる。昨年のインターハイは準決勝でPK戦での敗戦だったが、今年のチームはPK戦の練習を相当積んでいるらしく、平岡和憲監督は「PKには自信がある」という。泥臭く勝利した大津が、またひとつ頂点に近づいた。

(取材・文 鈴木潤)
高校サッカー・09全国高校総体特集

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