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天皇杯進撃で得た「勝負強さ」と「狡猾さ」、明大が熱戦制し全国へ(明治大vs国士舘大)

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[11.18 関東大学サッカー1部第21節 明治大 3-2 国士舘大 三ツ沢陸上]

 明治大が全日本大学選手権出場権を獲得した。第83回関東大学サッカーリーグ1部は18日、未消化だった第21節の3位・明治大対暫定6位の国士舘大戦を行い、明治大が後半39分のDF日野竜一(3年=国見高)の決勝ゴールにより、3-2で勝利。全日本大学選手権出場圏内の4位以内を確定させた明治大は、12月19日開幕の同大会1回戦で東北王者の仙台大と対戦する。

 天皇杯で戦った4試合は間違いなく明大を成長させた。全日本大学選抜の司令塔・MF山田大記(3年=藤枝東高)が「2年前の自分たちも昨年の国士舘(大)も天皇杯でJ1のチームといい試合をした。でも負けてしまったら何も残らない。いい試合じゃダメ。勝たなくては意味がない」と強い意志をもってJクラブたちと天皇杯を戦った結果、湘南ベルマーレ、モンテディオ山形を連破した。

 善戦するのではなく、Jクラブ勢に勝ち切った。そして格上たちとの試合を重ね、プレッシャーの中で成長することができた。そしてこの日見せたのは押し込まれた展開でも耐えて勝利に持ち込む勝負強さと狡猾さ。「山形戦や新潟戦のよさが出た試合。チーム一丸で戦う素晴らしいチームになって、試合巧者であることの重要性を出してくれた」と神川明彦監督は喜んだ。

 引き分けでもインカレ出場権を失う国士大の闘志も、並々ならぬものがあった。明大は前半26分に左CKから天皇杯でもゴールを連発した1年生MF三田啓貴(F東京U-18)が先制ゴールを奪ったものの、後のない国士大の攻撃は次第に加速。前半30分過ぎからは完全に明大をゴール前に釘付けにし、クロス、CKから次々とシュートを放つなど相手ゴールを襲い続けた。

 そして後半、その圧力をさらに増した国士大は15分、左サイドでSB天野恒太(4年=常葉橘高)、MF斎藤一行(3年=新潟ユース)とボールをつなぐと、最後はPAへ進入したMF柏好文主将(4年=韮崎高)が右足シュートを叩き込んで同点に追いつく。
 さらにドリブルで仕掛けたFW伊東俊(4年=青森山田高)があわやPKの場面をつくり出すなど、勝ち越しゴールへ向けて波状攻撃を繰り出した国士大。だが、明大は21分、前がかりになった国士大の一瞬の隙を突いてカウンターを仕掛けると、左サイドを独走したSB奥田大二郎(2年=東京Vユース)からのクロスをFW山本紘之(3年=柏U-18)が右足ダイレクトで叩き込み、再び勝ち越した。

 直後の22分に国士大・柏に執念のゴールを決められたが、明大は崩れない。直後から立て続けに交代カードを切り、再び国士大DFラインの裏のスペースを狙い続ける。
 そして、激しい攻防戦の末に迎えた39分だった。左サイドからオーバーラップした途中出場の日野が山田からのパスを受けると、中央へ切れ込み右足を一閃。GKの手を弾いたボールはそのままゴールへと吸い込まれた。
 失点のショックか、明らかに動きが鈍くなった国士大に対し、明大は落ち着いてスペースへとボールを運び完ぺきな締め。試合終了時には選手交代によって4年生のひとりもいない状況だったが指揮官は「(天皇杯で身につけた)経験値を出してくれた」。天皇杯に出場した選手だけでなく、奥田がスーパークリアで何度も決定的なピンチを防ぎ、GK高木駿(2年=東京Vユース)の好守も光った。その中で掴んだ全国切符に神川監督も「インカレに出ることができて本当にうれしい」と何度も繰り返していた。

 天皇杯での快進撃は決して“まぐれ”ではない。次は大学の全国選手権でその力を示すことをイレブンは目指す。山田は「天皇杯だけ乗って、勝って、周囲からは“たまたま”と思われていると思う。実力を証明するのはこれから。しっかり練習して成果を見せたい」と力をこめた。インカレの目標は日本一、頂点だけだ。

(取材・文 吉田太郎)

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