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[高校選手権]全国レベル示した八千代、流経大柏に3発快勝:千葉

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[11.29 全国高校選手権千葉県大会準決勝 流通経済大柏 0-3 八千代 市原臨海]

 第88回全国高校サッカー選手権千葉県大会は29日、市原臨海競技場で準決勝2試合を行い、第1試合では06年度全国4強の八千代と07年度日本一の流通経済大柏が激突。FW石川誠也(3年)の先制ゴールなどにより、八千代が3-0で快勝した。3年ぶりの全国出場をかけ、12月6日の決勝で習志野と戦う。

 近年、千葉県、そして全国の高校サッカーをリードしてきた流通経済大柏に、「全国レベル」の八千代が立ちはだかった。試合開始直後にFWグレイブス・ジョシュア(3年)の右足シュートがポストを叩き、MF福井快(3年)の左足から放たれた右CKが直接ポストを弾くなど、前半、相手ゴールに近づいていたのは流通経済大柏だった。八千代は相手の圧力の前にファウルを連発。再三のセットプレーからゴールを狙われた。
 ただ、CB青木奎樹(3年)中心に流経大柏の攻撃を凌いだ八千代は得意のパスワークから徐々にペースをつかんでいく。そして前半37分、中盤で前を向いたMF長澤和輝主将(3年)が相手DFの間を射抜く絶妙なスルーパス。「どんどん相手の裏を突こうと。(長澤)和輝を信じて走った」という石川が抜け出すとGKとの1対1を冷静に沈めてリードを奪った。

 対して流経大柏は後半6分、2トップを入れ替えて注目の1年生FW宮本拓弥とFW進藤誠司(2年)を投入する。そして16分、右CKの流れから相手ハンドによりPKを獲得。絶好の同点機を迎えた。だが、キッカー・福井の左足キックは八千代の守護神・永村達郎(3年)がストップ。「あのPKが全て」と振り返った八千代・砂金伸監督の言葉通り、このビッグプレーで試合の流れは一気に八千代へと傾いた。前がかりとなった流経大柏から鋭いカウンターで立て続けに決定機をつくり出した八千代は21分、再びカウンターからMF黒氏啓介(3年)が左サイドへ走るMF齋藤昂太(2年)へパスを送ると、その折り返しを黒氏がダイビングヘッドで押し込みリードを広げる。

 不運ではあったが自らのハンドでチームにピンチを招いていた黒氏による渾身の一撃。これで攻めるしかなくなった流経大柏はセットプレーからチャンスをつくり、また木下のドリブルシュートがゴールをかすめる場面もあったが、得点できない。逆に八千代は34分、セットプレーのカウンターから長澤がスルーパス。これに反応した途中出場のMF高橋昂平(3年)がドリブルで独走し、最後は切り返しから左足で勝負を決める3点目を奪った。
 
 両チームの戦力にはスコアほどの大きな差はなかったかもしれない。それでも個の強さとチーム力を存分に発揮した八千代が3-0で快勝し全国へ王手。黒氏は「今はチームとしての自信がついて、どの相手に対しても臆せず戦うことができている」と胸を張る。今回の快勝でまたチームは自信を深めた。ただ、昨年は決勝で敗れているだけに「ここで満足したら終わり。絶対満足しないで決勝を戦いたい」と加えた。 

 選手たちも口にするように精神面の成長は大きい。この日1-0とリードして迎えた後半16分、不運なハンドにより、八千代はPKを献上した。ただ選手たちは落ち着いていた。「(全国に行く過程には23日の)準々決勝のように退場者が出ることもある。それでも全国大会の出場を決めているチームは、自分たちをコントロールしていろいろなことを乗り越えて代表になっているんだ、という話をしていた」と振り返った八千代・砂金監督。昨年からのレギュラー7人を残すが、その昨年を含めて以前はアクシデントに対して、我を失い自滅してしまうことがあった。ただ厳しいチェックがファウルとされる判定が多かったこの日も崩れることはなく、指揮官も「イライラするのではなくて、上手く切り替えて、すっとできていた」と選手たちに目を細めていた。

 長澤、黒氏ら好選手を擁する今年は、各地の高校サッカーフェスティバルで強さを見せつけ、プリンスリーグ関東2部は無敗で優勝。「千葉を抜ければいいところへいくと思う」と砂金監督も自信を見せていたチームがその力を示すスコアで、全国へあと1勝に迫った。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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