beacon

[大学選手権]明大の半世紀Vを支えた"縁の下の力持ち"

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.6 全日本大学選手権決勝 明治大2-1福岡大 国立]

 明治大の全日本大学選手権優勝は、1958年度の第7回大会以来、実に51年ぶりだった。半世紀ぶりとなる2度目の日本一。07年には関東大学リーグ1部で43年ぶり2度目の優勝も果たしており、近年の急成長には目覚ましいものがある。

 04年にコーチから昇格した神川明彦監督は「この6年間で大きく変わったところは2点あります」と指摘。学生寮から一直線上に人工芝のグラウンドが完成したハード面。Jクラブとの提携により、東京Vからコーチングスタッフ、柏からトレーナーを招聘したソフト面。「両面の充実が大きい」とした上で、「あとは生活面の改善。朝起きて食事を取るとか、当たり前のことが大学生はできていなかった。朝6時、8時、10時からそれぞれ練習を行い、必ず1回は出なければいけないようにした。もちろん授業にも出ないといけない」と、選手の意識改革の成功を要因に挙げた。

 今大会は開幕直前にMF山田大記(3年)、FW久保裕一(3年)が負傷し、出遅れた。決勝も、準決勝で左ひざを痛めたDF蛭田達也(4年)が欠場し、DF鹿野崇史(3年)、DF奥田大二郎(2年)という両サイドバックが出場停止。準決勝から4バックのうち3枚が変わる緊急事態だった。

 それでも神川監督は「1年を通じて常に競争してきた。確かに鹿野、奥田はインカレで調子が良かったが、今シーズンずっと出ていたかと言えば、そうではない」と強調する。決勝ではDF日野竜一(3年)が右サイドバック、DF田中政勝主将(4年)が左サイドバックで先発したが、蛭田の代役を務めたDF吉田啓祐(2年)を含め、守備の安定感は健在だった。

 大会のベストDFにも選ばれた田中は「大会の最初は出れていなかったけど、出場停止でチャンスが来た。みんなに本当に感謝したい」と、大学生活最後の大会で有終の美を飾り、笑顔をのぞかせた。

 決勝の先発11人のうち、4年生は田中とMF都丸昌弘(4年)の2人だけ。だが、彼らが精神面でチームの支柱になっていたのは間違いない。「プレーでは山田や(小林)裕紀、久保とか3年の選手が引っ張ってくれているけど、精神的な面ではまだブレもあるし、そういうところで支えていけたらいいなと思っていた。試合中に声をかけたり、そういうのを1年間意識してきた」と都丸は胸を張る。

 豊富な運動量と溢れんばかりの闘志でチームを牽引した田中と都丸。明大の歴史的Vの陰に“縁の下の力持ち”となった彼らの存在があったことを忘れることはできない。

(取材・文 西山紘平)

特設:大学選手権09

TOP