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[MOM3565]青森山田FW渡邊星来(3年)_ついに生まれた全国初ゴール。“相棒”との2トップが猛威を振るう

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青森山田高のストライカー、FW渡邊星来(17番)は全国初ゴール!(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.18 インターハイ3回戦 丸岡高 0-8 青森山田高 テクノポート福井総合公園スタジアム]

 ついに生まれた自身の全国大会初ゴール。喜びを爆発させるというよりは、噛み締めるようにその瞬間を味わう姿が印象的だった。「ものすごく嬉しいです。選手権の時も少しだけ試合に出させてもらったんですけど、やっぱり全然点を決められなかったので、今日が初めての全国大会でのゴールということで、本当に決められて良かったです」。優勝候補筆頭の青森山田高(青森)が誇る2トップの一角。FW渡邊星来(3年=刈谷JY出身)にはゴールと笑顔がよく似合う。

 8-0の大勝を収めた、2回戦の初芝橋本高(和歌山)戦。スタメンの11人の中に渡邊の名前は見当たらなかった。「正直、一昨日の試合で4-1-4-1というフォーメーションになった時は、やっぱり焦りもありましたし、自分がスタメンじゃないということを実感して、悔しい想いがありました」。

 スタメン復帰戦となった3回戦の丸岡高(福井)戦は、やや立ち上がりから気負いも見られる展開に。「最初はちょっとパスミスだったり、2トップの収まりのところがどうしてもちぐはぐだったりとか、単調な攻撃で終わってしまっているという出だしでしたね」と黒田剛監督が話せば、渡邊も「前半の立ち上がりで2トップの収まりがなかったことと、収めてからのラストパスの質だったり、(松木)玖生、(宇野)禅斗、(藤森)颯太、(田澤)夢積を簡単に使うところも使えていなかったので、まずはそこが課題だと思います」ときっぱり。最初の15分は決して良い流れではなかった。

 ただ、DF丸山大和(3年)が18分に先制点を奪ってからは、少しずつ全体の動きもほぐれていく。「『もう絶対に点を決めたい』という想いはありましたけど、自分自分になり過ぎると周りが見えなくなると思ったので、心は熱く、頭は冷静にやりました」という渡邊は、まず“相棒”へのアシストで輝きを見せる。

 24分。「正直、夢積からパスを受けた時はシュートしか考えていなかったんですけど、横を見たらフリーの“ナス”(名須川)がいて、とりあえず勝つことが一番なので、預けたら決めてくれたので良かったです」。より得点の可能性が高いFW名須川真光(3年)のパスを選択し、チームの2点目を導く。

 すると、とうとう得点のチャンスが訪れる。26分。CKの流れからの二次攻撃で、藤森が左クロスを蹴り込むと、ファーで待っていたDF三輪椋平(3年)が丁寧に折り返す。

「椋平が折り返すとわかった時にはもう呼び込んで、『(パスを)ちょうだい!』というのを言ったら実際に来たので、狙い通りだったと思います。昨日の練習の時に監督から『オマエ、まだ1点も決めてないな』と言われたので、ちょっと焦っていて(笑)。ゴールが入った時は本当に『良かった~』と思いました」。今大会3試合目にしてようやく手にした1点は、渡邊にとっても全国大会という舞台における初ゴール。安堵の笑顔を浮かべ、その歓喜を噛み締めた。

 3試合を終えて、名須川が3得点を挙げているのに対し、渡邊は1得点。「正直1点じゃ物足りないですし、やっぱり青森山田から得点王が出ればいいなと自分は思っているので、誰でもいいんですけど、できれば自分がなりたいです」。それゆえに、ここまで2つのゴールを自らがアシストしている“相棒”への複雑な心境を、独特のユーモアで語る。

「ナスが決めると、『うわ~』となるし、『よっしゃ~』ともなるので、複雑です(笑)。自分のことよりも勝つことがまず第一なので、最初は嬉しいんです。でも、70分間を振り返って、自分がゴールを決めていなかったら、『ああ、あの時シュート打っておけば良かった』って、後から考えたらそう思いますよね(笑)」。

「次は3点は獲りたいです」。17番を背負うストライカーは、きっぱりと言い切った。いよいよ勢いの付き始めた“ナス”と“セラ”の2トップが、次の試合でも猛威を振るう可能性は、かなり高そうだ。

(取材・文 土屋雅史)
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