beacon

旭川実「目標は全国4強」…粘る札幌創成を振り切って2大会連続の全国切符

このエントリーをはてなブックマークに追加

2大会連続7回目の総体出場を決めた旭川実高

[6.17 インターハイ北海道予選準決勝 旭川実高 2-1 札幌創成高]

 底力の違いを見せた。全国高校総体(インターハイ)の北海道大会は17日に準決勝、決勝を行い、優勝を飾った旭川実高は2大会連続7回目の全国出場を決めた。北海道の全国出場枠は2。全国切符をかけた準決勝では、札幌創成高と対戦。粘る相手に苦しめられたが、エースの鮮やかな一撃で振り切った。

 準決勝の立ち上がりは、抜け出しやドリブルで推進力を見せる右MF山本直矢(3年)が相手の背後を何度も狙ってセットプレーを獲得。前半15分、右CKからレフティーのMF渡辺健斗(3年)がゴール前に蹴り込むと、プリンスリーグ北海道で得点を量産しているFW和嶋陽佳(2年)が相手を巧みにブロック。相手がクリアミスしたところを逃さずにFW安保悠輝(3年)が仕留めて前半15分で先制に成功した。その後も和嶋が相手の最終ラインと駆け引きする中、前線の安保、左の渡辺からチャンスメーク。ボランチの樫山一生(3年)がかじ取り役を担って攻撃をけん引した。

 対する札幌創成は、ハーフタイムで選手を交代。攻撃のターゲットとしていた左FW濱田治希(3年)に代えて、スピードのあるFWディアロ航(3年)を投入して反撃を狙った。すると後半6分にアンカーの大坂悠斗(3年)が左に展開した場面からディアロが「縦は読まれていたので、駆け引きに使った」とカットインシュート。これが見事に決まり、試合を振り出しに戻した。

 しかし、旭川実は、落ち着きを失わずに着々とペースを奪回。特に守備面が前半より改善された。守備の位置を少し下げて中盤でブロックを形成。札幌創成は大坂が最終ラインからボールをピックアップする形でビルドアップを図ったが、前に出てこない相手に対して縦パスが入らず、中盤のボールロストが増加。思うように攻撃のテンポを上げられずに苦しんだ。ペースをつかんだ旭川実は、後半15分に敵陣中央でセカンドボールを回収した渡辺が相手に囲まれながらも見事なミドルシュートをゴール左に決めて再び勝ち越した。

 1点を追う札幌創成は終盤、主将を務めるDFラングフォード海渡(3年)を前線に上げてターゲットを増やし、ロングフィードとサイドアタックに振り分けて反撃。ディアロが、同点弾を思い出させるような左からのカットインシュートを放つ場面もあったが、わずかにゴール右に外れ、旭川実が2-1で逃げ切りに成功した。

 決勝戦でも勝利を挙げたが、そこに満足はない。旭川実は、2012年にユース年代の最高峰であるプレミアリーグEASTに挑戦して1分17敗の最下位を経験。以降、富居徹雄監督は、全国レベルで勝つチームに変わることを目標に掲げ、堅守速攻頼みからの脱却を図って来た。インターハイでは2015年に16強、2017年には8強と少しずつ成果を出してきた。また、その結果が北海道勢で何年ぶりの躍進だと報じられることに対して「もっと当たり前のことにしていかないと」と全体の意識を上げていく必要性も感じ取って来た。

 だからこそ、全国大会の目標は過去最高の8強を超える4強入りだ。決勝点を決めた渡辺は「チームとしてベスト4の目標がある。ベスト4、全国優勝を狙って頑張っていきたい」と意気込みを語った。攻撃面に特長があるだけに、守備で粘れるかどうかは一つのカギとなる。MF樫山は「全国大会では、自分たちよりレベルの高いチームが多い。プリンスリーグでも失点が多いので(※6試合で15得点7失点)、全国では失点をしないようにすることが課題」と約1か月での改善を誓った。全国で勝つチームへの変ぼうを掲げて10年目。明確な証としてのベスト4以上を狙う。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2022

TOP