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伝統の堅守や強烈な両翼で生み出した差。桐光学園が4-0でインハイ切符獲得:神奈川

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前半13分、桐光学園高FW宮下拓弥が先制ゴール

[6.17 インターハイ神奈川県予選準決勝 相洋高 0-4 桐光学園高 等々力]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技神奈川県予選準決勝が17日に行われ、桐光学園高が19年以来15回目の全国大会出場を決めた。桐光学園は相洋高に4-0で勝利し、代表権を獲得。18日の決勝で神奈川県第1代表の座をかけ、日大藤沢高と戦う。

 桐光学園は前半13分、左SB武藤光希(3年)がロビング気味のロングボールを前線へ入れる。これを胸トラップしたFW宮下拓弥(3年)が強引にDF間へ割って入り、先制点となる一撃を押し込んだ。

 対して、2年ぶりの全国出場を狙う相洋は桐光学園の強力な両サイドアタッカー、MF齋藤俊輔(3年)とU-17日本高校選抜MF松田悠世(3年)に対して人数をかけた守り。前半は相手が芝に慣れていなかったこともあり、奪い返しから攻撃に結びつける。

 序盤はFW小林勇心(3年)が前線で健闘。MF齊藤亮太(1年)の1タッチパスやMF立山航希(3年)の左足クロスなどで攻め返す。桐光学園はセットプレーの守りがやや安定していなかったものの、鈴木勝大監督が「そこは伝統としてウチが追求してやらないといけないことですし、要求しているところです」というファーストDFの部分を徹底し、相手に自由を与えない。

 CB平田翔之介(3年)を軸に、CB川村優介(3年)や右SB杉野太一(2年)が競り合いで強さを発揮。またセカンドボールの攻防でも優位に立っていた。22分にはMF小西碧波(3年)の奪い返しから齋藤が右中間を抜け出して右足を振り抜く。だが、相洋はこの日ファインセーブを連発していたGK曲渕温生(2年)が阻止。桐光学園は宮下のヘッドや松田の左足ミドルで2点目を狙うが、相洋も良く食い下がっていた。

 それでも、桐光学園は全国トップクラスと言える両ワイドの攻撃力が相洋との差を生み出す。後半12分、MF羽田野紘矢(3年)の展開から左の齋藤が仕掛けてシュートフェイント。切り返してDF2人のマークを外すと、そのまま豪快な左足シュートをゴールへ叩き込んだ。

 齋藤の“スペシャル”な一撃で2-0。相洋はカウンターやセットプレーから追撃のチャンスを作っていたが、桐光学園右SB杉野の好守に阻まれるなど決め切ることができない。逆に「松田と齋藤がどれだけゴールに近いところで前向きになれるか。その回数を増やせるかというのがチームとしてのテーマ」(鈴木監督)という桐光学園は、スピード豊かな齋藤とキープ力を見せる松田が個の力でボールを前進させ、崩しに係る。

 そして27分、齋藤のシュートのこぼれ球を拾った松田が左足で決めて3-0。30分には松田のスルーパスからFW丸茂晴翔(2年)が決め、勝負の行方を決定づけた。完璧な内容ではなかったものの、桐光学園は今大会無失点を継続し、全国切符獲得。守備の要であるGK渡辺勇樹主将(3年)は「今のところ県予選はゼロで終えているので、自分も含めて自信ついてきましたし、明日の決勝でも桐光学園は失点ゼロを目標にしているチームなのでそれは継続できるようにしたいと思います」と力を込めた。

 前回インターハイに出場した19年は“スーパーエース”FW西川潤(現鳥栖)の活躍もあって、初優勝。今年、西川ほどの選手はまだいないものの、「今年は(松田、齋藤をはじめ)色々なところから点が取れるのが一つ攻撃の形」(鈴木監督)という強みがある。指揮官はこの日の両翼のプレーについて、50点以下の厳しい評価。「もっとやれる」と求めていく考えだ。

 伝統の堅守、攻撃もより磨いて再び上へ。渡辺は「まだ改善点はあるので、しっかり全国までに修正して隙のないチームにしていきたい。(全国の)レベルの高いのは分かっていますし、自分中心に後ろはゼロで、前が絶対に点を取ってくれるのは分かっているので、後ろは粘り強く、前は攻撃を自由にやらせて全国でも絶対に優勝できるチームにしたい」と意気込んだ。夏の北海道で今年の桐光らしさを発揮し、目標に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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