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[早スポ]死闘の果てにインカレ出場の望み潰える

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[早稲田スポーツ ゲキサカ版]
[11.6 第84回関東大学サッカーリーグ戦・後期1部リーグ第20節 早稲田大1-1法政大 赤羽スポーツの森]

 前節、拓殖大に完勝し全日本大学選手権(インカレ)出場の望みを辛うじて残した早稲田大。引き分けすら許されない状況で迎えるはこちらも残留のためには勝ち続けるしかない法大である。互いに勝利が絶対条件という極限状態の中で行われた試合は1点を争う激しい展開となったが結果は1-1の引き分け。リーグ戦2試合を残して早大のインカレ出場の可能性は消滅した。

 試合は開始早々動いた。4分、DF野田明弘(4年=広島ユース)のコーナーキックにDF小川諒(4年=柏U-18)が頭で合わせる。小川のシュートはポストに弾かれたものの、今季リーグ戦初スタメンのFW皆川翔太(4年=東京Vユース)がこぼれ球に素早く反応し早大が先制点を挙げた。これで流れに乗った早大はMF奥井諒(3年=履正社高)、MF柿沼貴宏(3年=大宮ユース)を中心に得意のサイドから攻撃を組み立てていく。不用意にボールを奪われカウンターを受ける場面もあったが、守備陣が高い集中力を保ち、相手にフリーでシュートを打たせない。

 早大ペースで進んでいた試合の流れが変わったのは後半開始直後だった。46分、CKのこぼれ球を押し込まれ試合は振り出しに。前半とは全く逆の展開、俄然勢いづいた法大は積極的にシュートを放ってくる。対する早大はボールを落ち着かせようとするあまり足元へのパスが多くなり、前半見せたような攻撃の形が見られない。54分には奥井の個人技によるサイド突破から絶好のチャンスを迎えるが、中央の皆川がクロスに合わせきれずシュートはゴール右に。流れをつかみきれない早大はその後も安易なパスミスから幾度となくピンチを招いてしまう。

 インカレへの望みをつなぐためにもなんとしてでもゴールがほしい早大はFW白井豪(2年=三鷹高)、MF鈴木隆司(4年=川越高)と攻撃的な選手を投入し、小川も前線に上げて1点への執念を見せる。それでも勝利しか許されないのは相手も同じ。互いに前がかりになったラスト10分は激しいカウンター合戦となった。「点をとってほしい、とりたい気持ちでいっぱいでした」(野田副将)。しかしその思いも届かず、むなしく響く試合終了の笛。ピッチに倒れ込む双方の選手の姿が1-1というスコアが持つその意味を如実に示していた。

 インカレ出場権を逃したことで早大の代表として4年生が戦えるのはあと残り2試合となった。「4年生と一緒にサッカーできる喜びを、感謝の気持ちをしっかりプレーに表現できるように、4年生のためにこの2試合全力でやるだけなので勝利に貢献したいと思います」(DF菅井順平(2年=浦和ユース))、「結果には残らないかもしれないけど後輩やいろいろな人の胸に残るような暑くて気持ちの伝わるようなプレーを残りの期間、練習から後輩やチームに何かひとつ残せるように頑張りたいと思います」(野田副将)。そう、チームとしてやるべきことはまだ残っている。

[写真]試合終了の笛と同時に、ピッチに崩れる両校の選手

(取材・文 早稲田スポーツ 森野穣)
(写真・同 池田朋美)

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