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[早スポ]最終節敗戦も「4年間ありがとう」

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[早稲田スポーツ ゲキサカ版]
[11.20 第84回関東大学サッカーリーグ戦・後期1部リーグ第22節 早稲田大0-1流通経済大 西が丘サッカー場]

 「4年間ありがとう」。西が丘に響く試合終了の笛。それは今季の終わりを告げるとともに、早稲田大学ア式蹴球部で活躍してきた4年生の引退を知らせるものでもあった。前半開始早々に得点を許すも、ボールを支配するワセダがゲームの主導権を握る。しかし決定的な場面を作れず、得点を奪えぬまま試合は終了。有終の美を飾ることはできなかった。

 この試合もDF岡根直哉主将(4年=初芝橋本高)がケガでメンバー入りできない中、チームを引っ張り続けてきたDF野田明弘副将(4年=広島ユース)、一年時から公式戦に出場し経験豊富なMF幸田一亮(4年=横浜FMユース)、得意のヘディングと熱いハートでチームを鼓舞するDF小川諒(4年=柏U-18)、そしてムードメーカーとしてピッチの外でもチームに貢献し続けたFW皆川翔太(4年=東京Vユース)が入場から先頭に立ち、チームを引っ張る。

 前半8分にロングボールを処理できず抜け出した相手に先制点を許すも、その後はMF柿沼貴宏(3年=大宮ユース)のドリブルや縦横無尽に動きまわる幸田の活躍で相手を敵陣にくぎ付けにし、ワセダペースで試合は進む。しかし決定的なシュートを打てず、得点を奪えない。

 後半に入りワセダは皆川のジャンピングボレーを皮切りに、次々と流経大ゴールを脅かす。後半13分にはFW松井亮大(3年=東海大付第五高)のクロスに飛び込んだMF山中真(3年=柏U-18)がDFを引きつけ絶妙なスルー。MF奥井諒(3年=履正社高)がフリーでシュートを打つも惜しくもキーパー正面に。

 なかなか得点を奪えないワセダはMF鈴木隆司(4年=川越高)、MF中野遼太郎(4年=F東京U-18)を投入し最後の攻勢をかける。試合終了、そしてア式蹴球部でのプレーの終わりも近付く中、ベンチでは試合に出場することのできなかったGK菅野一弘(4年=早稲田実業高)やMF寺島尚彦(4年=暁星高)がピッチの外から声を出し、スタンドからはメンバーに入ることの出来なかった4年生が同期のプレーを目に焼き付ける。なんとか勝って終わりたい――。しかし思いは届かず、スコアを動かすことの出来ぬまま試合終了。22試合にも及ぶ長いリーグ戦が終わるとともに、4年生にとっては大学4年間での最後の試合が終わった。

 試合終了後、4年生の多くは目を赤くしていた。「4年間毎日本気でサッカーボールを追いかけてきたことを思い出した」との野田副将の言葉が全てを表しているだろう。それでも、「山あり谷ありでしたけど、素晴らしい時間を過ごせました。」(小川)や「良い仲間と出会えた。」(幸田・皆川)との言葉から、充実した4年間を過ごしてきたことに悔いはないことがうかがえる。来季もチームの中心になるであろう山中の「4年生には本当に感謝しています」に代表されるように、後輩たちからは最上級生としてチームを引っ張ってくれた4年生への感謝の言葉が述べられた。

 今季は古賀聡新監督のもと、学生主体という目標を掲げて新たな出発をしたワセダ。結果は12チーム中10位と振るわず全日本大学選手権(インカレ)への出場も叶わなかったが、4年生は多くの遺産をチームに残してくれた。古賀体制2年目になる来季こそは4年生の思いを受け継ぎ、インカレ出場、そして『日本一』になるために――。試合終了の笛は、新たなア式蹴球部の始まりでもあるのだ。

[写真]今季のラストゲームを終えた選手たちは、スタンドで待つ仲間のもとへ向かった

(記事 早稲田スポーツ 田端亮介)
(カメラ 同 菊池瑞・山中太裕)

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