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[関東1部]内容向上の中央大&国士舘大、結果伴わず「勝ち点3取るのは難しい」

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[5.22 関東大学1部リーグ第4節 国士舘大1-1中央大 西が丘]

 22日、第85回関東大学サッカーリーグ1部前期第4節第2日の2試合が東京都北区の西が丘サッカー場で行われ、第1試合では9位の中央大と10位の国士舘大が対戦。1-1で引き分けた。

 08年度全日本大学選手権王者の中大と昨年の総理大臣杯全日本大学トーナメント4強の国士大。全国的な強豪同士の一戦だが、今季は3戦終えて中大が1勝で国士大は未勝利と苦しんでいた。その両者による戦いは国士大・細田三二監督が「きょうが一番内容がよかった」と振り返り、中大の佐藤健監督も「選手はよく頑張ってくれた」と話す内容のある試合に。ただ互いに欲しかった勝ち点3を獲得することはできなかった。

 試合は前半2分、国士大がいきなりビッグチャンスをつくる。中央のMF佐藤優平(3年=横浜FMユース)が左前方へ出したスルーパスに反応した左MF岩崎晃也(4年=青森山田高)が決定的な左足シュート。ただ、この後は中大が特長である前線からの厳しいディフェンスで、国士大のパスワークを封鎖する。中大は効果的な攻撃のできない国士大からチャンスもつくると前半13分、右サイドからMF椎名正巳(4年=帝京高)が仕掛け、最後は中央のスペースを突いたMF澤田崇(2年=大津高)が技ありの右足シュートを決めて先制した。

 中大は中盤中央で引き気味のポジションを取るMF渡辺大斗(1年=横浜FMユース)がバランスを取り、全日本大学選抜CB大岩一貴主将(4年=中京大中京高)を中心とした最終ラインも綻びを見せない。そして椎名と澤田、左SB高瀬優孝(2年=埼玉栄高)ら両翼の突破をチャンスにつなげると、36分にはカウンターからMF田辺圭佑(2年=成立学園高)の縦パスで左サイドを抜け出した澤田が折り返す。中央へ飛び込んだ椎名が決定的なシュートを放つなど流れのいい時間帯が続いた。

 一方の国士大はFW吉野峻光主将(4年=静岡学園高)と右MF金子昌広(3年=正智深谷高)の全日本大学選抜コンビに佐藤らが絡んでチャンスをつくろうとするが、吉野主将が「チャンスは練習していないカウンターばかり。練習では崩しもできているんですけど、試合でできていない」と首を振ったように、相手の鋭い出足も影響してかパスのタイミングがズレてしまう。ただ国士大には相手にわずかな隙があれば、意外なところからでも決定機をつくり出す破壊力がある。前半最大のビッグチャンスは44分。佐藤の絶妙なスルーパスで吉野が抜け出す。だが1対1となったGKの脇を射抜こうとした右足シュートは、ヴァンフォーレ甲府特別指定選手のGK岡西宏祐(3年=山梨学院高)が左手の指先でわずかに触り、ゴール左外へと外れていった。

 中大は後半開始から就職活動の影響で出遅れていたSB田港周平(4年=桐光学園高)、13分からは故障明けのU-22北朝鮮代表FW安柄俊(3年=東京朝鮮高)をピッチへ。主力の投入でさらに活性化しようとした。ただ都内で気温30.3度を記録した暑さの前に徐々に体力を削り取られた中大は、後半苦しい戦いを強いられてしまう。逆に国士大はカウンターから決定機を連発。佐藤の右足シュートや岩崎の決定的な一撃がゴールを捉えた。中大はDF陣の好守に加え、大当たりだった岡西がことごとくシュートをセーブしていたが、攻撃面では田辺の左足ミドルがクロスバーを叩く不運もあり突き放すことができない。

 そして33分、根気強く攻め続けた国士大の執念がついに実る。金子の左FKをファーサイドのSB瀬川和樹(3年=盈進高)が同点ゴール。これで振り出しに戻した国士大、もちろん勝ち点3の欲しい中大ともに終盤は攻め合う展開となったが、波に乗ることができていない両チームは、1-1からスコアを動かすことができなかった。中大の大岩主将は「負けが続いていたので引き分けは一歩前進。ボクは前向きに捉えたい。ただ決めるところを決めるとか、やりきって終わらないといけない。(チーム全体として)もうちょっとやりきらないと」。

 互いに勝つチャンスがあっただけに、試合後の両監督はともに「勝ち点3取るのは難しい」とため息交じりの一言。ただ開幕前の準備が遅れ、今年の戦い方へと方向付けながら急ピッチでチームをつくり直している最中の中大は、攻守の切り替え、運動量の部分でチーム作りの遅れをカバーしながら内容ある試合を演じた。またこの日相手の3倍となるシュート18本を放ち、吉野主将が「勝ち始めればもっともっとできるチーム」と手ごたえを口にする国士大も上位に入る力は十分。それだけに、両チームはできるだけ早い時期での勝利をきっかけに、首位争いに参戦したいところだ。

[写真]激しくボールを奪い合う国士大・岩崎(右)と中大・椎名
(取材・文 吉田太郎)

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