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[関東1部]「強い明治」今年も、王者・明治大が巻き返しへ今季初勝利

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[5.22 関東大学1部リーグ第4節 明治大3-0駒澤大 西が丘]

 王者・明治大が復活の勝利を遂げた。第85回関東大学サッカーリーグ1部前期第4節第2日の2試合が東京都北区の西が丘サッカー場で行われ、最下位に沈んでいる昨年王者・明治大と11位・駒澤大戦は、明治大が3-0で快勝。開幕4戦目で待望の初勝利を挙げた。

 開幕3試合無得点で1分2敗。全日本大学選抜のMF宮阪政樹主将(4年=F東京U-18)が「きょうが勝負だと思っていた」と振り返るほど、危機感を持って戦った明大が激しい雨の中で闘志あふれる戦いを見せて勝ち点3をもぎ取った。

 チームを乗せたのは開幕から4試合計278分でようやく生まれた待望の初ゴールだった。前半8分、明大は右SB小川大貴(2年=磐田ユース)の出したスペースへのパスに、相手最終ラインの背後を取った10番MF三田啓貴(3年=F東京U-18)が走りこむ。三田から出されたマイナスのラストパスに飛び込んだのはこの日がリーグ戦初先発の2年生FW梅内和磨(F東京U-18)。左足シュートは相手DFに阻まれたものの、こぼれ球を頭でゴールへと押し込み先制点を奪った。

 これまでの3試合、強固なディフェンス陣が相手を封じながら、無得点。攻撃陣の不振が守備面にも連鎖し、「守らないといけない」のプレッシャーに耐え切ることができなくなったチームは、PKやセットプレー、そしてミスで勝ち点を落としてきた。だが、早々に奪った1点でチームは悪夢を振り払うことに成功。16分にもMF矢田旭(3年=名古屋U18)の左クロスをFW阪野豊史(3年=浦和ユース)が頭で合わせ、序盤でリードを2点へと広げた。

 またこの日の明大は抜群の出来だったMF楠木啓介(4年=鹿児島実高)が中盤でセカンドボールを制圧したほか、先発復帰した全日本大学選抜DF丸山祐市(4年=國學院久我山高)と松岡祐介(3年=広島皆実高)のCBコンビも駒大のロングボール攻撃を封殺。かみ合っていなかった歯車が回り始めた明大は、本来の安定感際立つサッカーで前半の45分間を終え、駒大を1年生MF板倉直紀(千葉U-18)のシュート1本に封じ込んだ。

 決して完ぺきな試合ではなかった。前線でボールを失う回数が少なくなかった明大は後半、攻撃の圧力を強めた駒大にシュートまで持ち込まれる場面が増えた。だが、20分にゴールエリア付近で与えた間接FKは駒大MF碓井鉄平(2年=山梨学院高)の右足シュートを全員で阻止。その後も前線の高さと全日本大学選抜の左MF湯澤洋介(3年=矢板中央高)を起点に攻撃を繰り出してくる駒大の反撃にあいながらも、得点は許さなかった。

 明大はこれまで証明することのできていなかった「耐える」守りで相手の反撃を封じると逆に後半ロスタイム、交代出場の1年生MF矢島倫太郎(浦和ユース)のスルーパスで抜け出した阪野が勝敗の行方を決定付けるダメ押しゴール。危機的状況下にあった明大だったが、宮阪主将が「これから上がっていける。大きな勝利」と喜ぶ勝ち点3でようやく、連覇へ向けた本当のスタートを切った。

 主将の林堂眞(4年=習志野高)と三宅徹(4年=名古屋U18)の両CBが不在の駒大はまさかの最下位転落。会場を訪れたOBの千葉FW深井正樹の前で今季初勝利を挙げることができなかった。一方、勝った明大の神川正彦監督は「勝てたこともよかったし、ゼロに抑えたこともよかった。これから間違いなくよくなる」。昨年のリーグVメンバーの多くを残すなど、実力を備えながらピッチ上で表現できなかった苦しい時期。これを乗り越えたことで「強い明治」が復活するか。「まだまだ発展途上にある」と指揮官が口にする王者の巻き返しから目が離せない。

(取材・文 吉田太郎)

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