beacon

[総理杯予選]互いに退場者出すも、中央大が110分間の死闘を制し順天堂大下す

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.1 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東代表決定戦Eブロック決勝 中央大2-1(延長)順天堂大 国士舘大G]

 第35回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東代表決定戦のEブロック決勝が1日に国士舘大鶴川グラウンドで行われ、中央大が順天堂大に延長戦の末に2-1で勝利し、3年ぶり12回目の本大会出場を決めた。

 試合が大きく動き出したのは、0-0で迎えた後半26分だった。中央大のFW安柄俊(3年=F東京朝鮮高)がPA内でDF谷奥健四郎(1年=四日市工業高)に倒されてPKを獲得。これを安が自らゴール右隅へ決めて、先制に成功した。待望のゴールにイレブンは歓喜に沸いた。

 しかし先制からわずか3分後、DFからGKへのバックパスを順天堂大のFW原田開(2年=湘南)にカットされてしまう。GKシュミット・ダニエル(2年=東北学院高)がこれを止めようとPA外に飛び出すも、ドリブルでかわされた。原田がPA内左から放ったシュートは、必死にゴール前へ走りこんだDF大岩一貴(4年=中京大附中京高)の手に当たり、枠外へ。このプレーで大岩が一発退場。PKを原田に決められ、1-1の同点に追いつかれた。

 だが、まさかの状況にも中央大は浮き足立たない。即座にMF田辺圭佑(2年=成立学園高)に代わって、DF藤村将世(4年=ルーテル学院高)を投入。4-4-1システムで数的不利な状況に対応した。残り時間も耐え切り、試合は1-1のまま10分ハーフの延長戦へ。延長前半5分には順天堂大のDF山嵜駿(1年=柏U-18)がDF砂森和也(3年=千葉U-18)との競り合いの際にファウルを取られ、2枚目の警告で退場。10人同士の戦いとなる。果敢に攻めあい、あっという間に時間は過ぎ、PK戦へ突入するかと思われた終了間際の延長後半10分。DF田港周平(4年=桐光学園高)の右サイドからのパスをFW大矢雄太(4年=桐光学園高)がスルー。ゴール正面のFW皆川佑介(2年=前橋育英高)のパスは相手DFに当たるが最後は田港が右足で押し込み、ゴールを決めた。これが決勝点となり、中央大が2-1の劇的勝利。3年ぶりの全国切符を手にした。

 110分間の激闘となったが、試合はチャンスの連続だった。中央大は前半だけで実に10本ものシュートを放ったが、ポストやクロスバーに嫌われた。再三決定機をつくるも、ゴールを決めることはできず。そんな中、チームにリズムをもたらしたのは故障明けで後半12分から途中出場を果たしたMF六平光成(3年=前橋育英高)だった。単調なペースでひたむきにゴールへ向かう中央大の攻撃陣を落ち着かせ、攻撃に緩急をつけた。DF陣に囲まれてもボールを失わず、中盤に君臨。要所要所で局面を打開するパスを供給した。決勝点のシーンも、六平にマークが集中したことでノーマークの選手が生まれ、ゴールにつながった。

 一方の順天堂大は、GK上福元直人(4年=市立船橋高)が体調不良で前半45分に途中交代するアクシデントもあったが、何よりもリーグ戦で一度しか試したことのない4-3-3システムで試合に臨んだことが裏目に出てしまった。サイドからの攻撃に厚みを持たせようとしての策だったが、1トップのMF天野純(2年=横浜FMユース)が試合後に「大岩選手とか本当に前に強くて」と話したように中央大のCB陣にことごとく跳ね返され、ボールをつなげず。幾度かポスト直撃のシュートを放つなど決定機はあったが、本来の持ち味を出し切ることはできなかった。

 また、主将のDF佐藤拓(4年=広島ユース)は「セカンドボールを拾って、天野や開(原田)とか岡庭を走らせるというのができていなかった。いい時の中盤はあそこでセカンドボールが拾えるはずなんですが」と悔やんでいたが、実は中央大は順天堂大が4-3-3で来るのを読んでいたのだ。連日の練習でも対策を行った上、試合当日の朝にも対策用のビデオを見てくるという念の入れよう。相手がどこでボールを拾い、どこから攻撃を展開してくるかは、中央大の選手たちの頭に入っていた。

 中央大の佐藤健監督は3年ぶりの本大会出場について「全国大会へ行って、どれだけ中央大のサッカーが通じるか。トーナメントでどれだけ力を出し切ることができるかが楽しみだった。そのためにも全国大会には絶対出ようと言っていて、(目標を達成できて)非常にうれしい。1回戦で負けるのではなく上位を狙っていこうと思います」と力を込めた。中央大は7月3日から大阪で行われる第35回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントに関東代表として出場する。

[写真]全国出場を決め、歓喜に沸く中央大

(取材・文 片岡涼)

TOP