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慶應義塾大が9年ぶりのインカレへ!!筑波大に約30年ぶりの黒星つける

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[12.4 関東大学1部リーグ戦・後期リーグ第22節 慶應義塾大1-0筑波大 駒沢]

 慶應義塾大が9年ぶりのインカレへ!! 関東大学1部リーグの最終節(第22節)が4日に駒沢オリンピック公園総合運動場で行われ、4位・慶應義塾大が3位・筑波大に1-0で勝利した。過去約30年間に渡り、慶應義塾大は筑波大に勝てていなかったが、全日本大学選手権(インカレ)出場もかかった大舞台で大金星を挙げた。慶應義塾大は、この勝利で勝ち点を37に伸ばすと、順位の入れ替えに成功。また、勝ち点2差だった5位・早稲田大を振り切り、4位以内に与えられるインカレ出場権を獲得した。一方、筑波大は3位から4位へ転落。インカレの初戦では東海地区第1代表の中京大と対戦する。

 関東地区のインカレ出場枠は全部で4校。すでに筑波大は5位・早稲田大を勝ち点4差で突き放しているため、インカレ出場を確定させて最終節を迎えた。対する4位・慶應義塾大は、5位・早稲田大との勝ち点差がわずかに2差。引き分けか敗戦でも早稲田大の結果次第で、インカレ出場が決まる状況とはいえ、自力で昇格を決めるため、勝利をつかむべく試合に臨んだ。

 すると試合開始5分に、ゲーム決める一撃が生まれた。前半5分、FW風間荘志(4年=暁星高)のパスを中央で受けたMF河井陽介(4年=藤枝東高)がMF日高慶太(4年=桐蔭学園高)へパス。日高が右足で放ったシュートはゴールネットを揺らし、慶應義塾大が先制に成功した。その後も慶應義塾大がチャンスをつくり、筑波大にシュートを許さない。

 その後は、試合後に慶應義塾大のDF笠松亮太(4年=東京Vユース)が「DFラインを下げすぎるとやられると思っていた。できるだけ中盤とDFのラインをコンパクトにやったことが結果的に良かったと思う」と振り返った通りに、慶應義塾大の守備網が筑波大の強力な攻撃陣を封じ込めた。

 この日の筑波大はMF八反田康平(4年=鹿児島中央)が故障の影響でベンチスタート、MF玉城峻吾(2年=三菱養和SCユース)は故障の影響で欠場したこともあり、4-3-3システムを採用。中盤ではMF谷口彰悟(2年=大津高)がアンカーを務め、右にMF上村岬(2年=磐田ユース)、左にMF曽我敬紀(3年=横浜FMユース)が入った。3トップは右からFW赤崎秀平(2年=佐賀東高)、FW瀬沼優司(3年=桐光学園高)、FW不老祐介(3年=広島ユース)が先発した。しかし、なかなか中盤で前を向いたプレーができず、効果的なパスがつなげない。バイタルエリアに入れば、筑波らしいパスワークでチャンスメイクをするものの、シュートまでは持ち込めなかった。前線へ蹴り込んだ浮き球のパスは、笠松とDF松岡淳(3年=慶應義塾湘南藤沢高)の両CBに弾かれた。慶應義塾大リードの1-0で前半を折り返した。

 後半開始から筑波大のベンチが動く。赤崎と不老に代えて、MF葺本啓太(2年=浦和ユース)とMF曽山慶太(2年=鹿児島U-18)を投入する。しかし流れを変えることはできない。慶應義塾大のサイド攻撃に押し込まれ、思うようにボールを前へ進めることができなくなっていった。対する慶應義塾大は、風間が果敢に右サイドから突破を仕掛け、立て続けにチャンスを演出。後半9分には、風間が右サイドからドリブルで駆け上がり、右クロス。ファーサイドで合わせた日高がシュートを放つも、クロスバーを叩いた。追加点は奪えない。

 後半18分には筑波大が早くも最後の交代カードを切る。故障明けの八反田を投入。「本当は(ケガ明けなので)きょうは出ないでおきたかった」という司令塔が強行出場を果たした。中盤では、来季から清水でチームメイトとなる慶應義塾大・河井と筑波大・八反田の攻防が繰り広げられた。

 すると後半36分、慶應義塾大に追加点のチャンスが巡ってくる。浮き球のロングパスに抜け出した風間がPA内右でDF車屋紳太郎(1年=大津高校)に倒されてPKを獲得。先制点を決めた日高がキッカーを務めた。しかし右足で蹴り込んだシュートは、筑波大の守護神GK三浦雄也(4年=中京大附中京高)が渾身のストップ。そのまま1-0で試合は終了。慶應義塾大が02年大会以来、9年ぶり8回目のインカレ出場を決めた。

 試合後、慶應義塾大の笠松主将は「約30年、筑波に勝っていないのは意識していなかったが、自分が(慶應に)いる間も一度も勝てていなかったので、やりにくいなとは思っていた。でも気にしないでやろうと。気にしてしまうと良くないと思ったので、今週1週間はそれについては何も言わなかった」と明かし、「先輩たちが積み上げたものもあって、インカレ出場まで来れた。ここまで来たら日本一をめざしたい」と話した。また、須田芳正監督は「インカレ出場、そして日本一というのが我々の目標。まずは第一目標は突破したかな」と話し、「1-0で勝ったという結果よりも、我々らしい戦いをできたことが良かった」と試合を振り返った。

 慶應義塾大は12月17日に開幕する全日本大学選手権では、天皇杯でJ1・大宮を撃破した福岡大と対戦する。指揮官は福岡大戦を見据え、「天皇杯の(福岡大対)湘南戦を見たけど、チームとしてまとまっていると感じた。手ごわい相手だとは思うが、全国に出てくるチームはどこも強豪。相手の長所を消せるように戦うだけ」と力を込めた。

(取材・文 片岡涼)

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