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ドイツ名門・シャルケ加入の19歳FW松永、トップチーム合流!!

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 ドイツ1部リーグ優勝7回の名門・シャルケ04と契約を結んだFW松永祥兵(19=加藤暁秀高卒)が2日、シャルケ04のトップチームの練習に合流した。8月の契約後、リザーブチーム(U-23チーム)で練習を重ねてきた松永は前日1日夜、DFマーク・ローレンツ(20)とともに急きょトップチームへの合流を命じられ、2日午前10時からの練習に参加。この日はドイツ代表に合流中のFWケヴィン・クラニ(26)、DFクリスティアン・バンダー(25)、DFハイコ・ヴェステルマン(24)の3選手は不在だったが、主将のブラジル人DFマルセロ・ホセ・ボルドン(32)、EURO2008にも出場していたオランダ代表の大型ボランチ・MFオルランド・エンゲラール(29)、元ドイツ代表の快足アタッカーFWゲラルト・アサモア(30)らとともに午前午後の2部練習に汗を流した。
 練習後にゲキサカの電話取材に応じてくれた松永は「感動ですよ!」とまず第一声。8月にシャルケとの契約は結んだものの、これまでは調整のためにリザーブチームでプレーしていた選手としかトッププレーヤーと交わる機会はなかった。それがこの日は右も左も欧州、南米強豪国の代表クラスばかり。二人一組の練習ではアサモアがパートナーを務め、4対4のボール回しでは、ペルー代表のFWジェファーソン・ファルファン(23=過去3シーズン、PSVで計49ゴール)らとともにボールを追い続けた。「すごいなぁ、と思ってひとりで感動していた。それがみんなに伝わったみたいで、みんなかわいがってくれました。アサモアには『日本にいる時にウイイレでアサモア使ってました』、って言ったら喜んでくれて」と声を弾ませた。「夢のよう」という一日は、厳しさよりもトッププレーヤーと同じピッチで練習したことの方が、171cm、62kgの小柄な19歳にとっては大きなことだったようだ。
 とは言っても松永にとって、トップチームの練習場は戦場でもある。いくらリザーブチームの試合で美しいゴールを決め、10番を背負ってチームを引っ張っても、トップチームのこのスター軍団の中で生き残っていかなくては意味がない。初日の練習では「午前中は良かったけど、午後は納得できなかった」と反省。持ち味の個人技とシュートの巧さでアピールも、自分を出し切れなかったことを悔しがった。オランダ人のフレッド・ルッテン監督からは、オランダ・フェイエノールトでのプレー経験を持つ日本代表MF小野伸二と同じ日本人という理由からか「シンジ、シンジ」と呼ばれたという。まだ認知されていない「ショー」という名前を早く定着させなくてはならない。
 練習、試合ともに“ツバイカンプ”(1対1)の勝負を挑まれ、攻めきれなければ「闘え!」という言葉が容赦なく背中に浴びせられるという厳しい世界。「まともに当たればふっ飛ばされそうな」選手たちを相手に小柄なFWは、動き出しのスピード、キレで競り勝ち、アピールしていかなくてはならない。それでも「自分らしさを出すだけ」と松永は誓う。全国的には全く無名だった高校時代から、大学を休学し、テストを重ねてドイツの名門との契約を勝ち取った男に失うものはない。
 きょう3日のオフを挟んで4日も松永はトップチームの練習に招集されている。チャンスは再び与えられた。今はとにかく精一杯全力を尽くすだけ。トップチームの公式戦のピッチを踏むため、小さな「挑戦者」は毎日の勝負をトップギアで駆け抜ける。

<写真>シャルケ04のトップチームで練習に励む松永(左)。右はペルー代表FWファルファン
(取材・文 吉田太郎)

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