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必然の敗戦を喫したスコットランド

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Text alert@中島(グラスゴー)

 10年W杯予選でスコットランドがマケドニアにまさかの黒星を喫した翌日、「オブザーバー」紙は「FALSE START」(誤ったスタート)と見出しを掲げた。FIFAランキングはスコットランドが16位に対し、マケドニアは56位。試合会場はアウェー、不慣れな炎天下で行われたことを考慮に入れても、スコットランドにとって受け止めがたい結果だろう。

 だが両チームのパフォーマンスを見る限り、スコットランドの完敗だった。

 スコットランドは4-4-2の布陣を採用し、DFのスティーブン・マクマナスとガリー・コールドウェル、MFのポール・ハートリー、スコット・ブラウン、バリー・ロブソンとセルティックから5人が先発。昨季のスコットランド王者の主力がピッチに並んだスコットランドは、図らずもセルティックと同じ問題――運度量不足――を露呈する。

 人の動きが極端に少ないスコットランドは前半、セントラルMFのダレン・フレッチャーが相手マークに封じ込められ、右MFブラウンはほとんどボールに触ることができなかった。左MFロブソン、FWジェームス・マクファーデンはパスを受けてもサポートがなく、選択できるプレーはドリブル突破のみ。マケドニアは人数を掛け、落ち着いて対処した。手詰まりになったスコットランドは後方からロングボールを放り込むも、チャンスに結びつけることはできなかった。

 スコットランド唯一のゲームメイカー、レンジャーズのMFバリー・ファーガソンが負傷で欠場したのも響いた。主将をつとめるファーガソンは展開力、キープ力、創造性を兼ね備える選手で、ファーガソン不在のスコットランドはこれらすべての要素が欠けていた。後半31分に投入されたMFショーン・マロニーがドリブル突破からチャンスを作り出すものの、時すでに遅し。前半5分にFKから奪われた先制点を最後まで追いつく事はできなかった。

 不運の判定に泣かされたというエクスキューズはある。マケドニアの先制点につながるFKは微妙な判定で、試合終盤、ペナルティエリアでマクファーデンが相手GKペタル・ミロセフスキに足を蹴られて倒れたが、主審が笛を吹くことはなかった。

 しかし、敗戦の原因はスコットランド自身にある。運動量と攻撃のアイディア不足。このふたつを解消できなければ、12年ぶりのW杯出場は難しいだろう。

(文・中島大輔)

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