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ドイツ代表から失踪したクラニイ

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 11日にW杯欧州予選のドイツ対ロシアがドイツ・ドルトムントで行われた。ドイツ代表チームは勝利を収めW杯本大会出場へ向けて一つの山場を越えたようだ。しかしながら、問題が発生している。この試合でドイツ代表チームのベンチ入りメンバーから外され、スタンド観戦を強いられたケビン・クラニイ(シャルケ04)が、試合後半途中で勝手に自宅へ帰り、代表チームに対して戻ることがないと代理人を通して意思表示をしたと話題になっているのである。
 この件に関してドイツ・ビルド紙は「レーブ監督はクラニイを切り捨てる」と見出しをつけ、クラニイがもう二度と代表へ戻ることはできないだろうと報じている。事実、レーブ監督は「クラニイがとった、昨晩(11日試合のあった夜)のような行動を、私は絶対に受け入れることができない。今後彼の代表招集は二度とないだろう」ときっぱりとコメントしているのである。

 ビルド紙によれば、経過は以下のとおりであるようだ。
 試合後、いくら待ってもチームバスに現れないクラニイを関係者が探したが見つからず。約1時間後、レーブ監督からバスを出発させるようにと指示が入る。宿泊先のホテルに向かうバスの中から、同監督、ビアホフマネージャーがクラニイの携帯電話に連絡を入れるが応答なし。ホテルへ到着したビアホフマネージャーのもとへクラニイの友人二人が現れ、部屋にある彼の荷物を持ち出したいと許可を求められ、同マネージャーは同意した。試合翌日、日曜日の午前中になっても誰も連絡を取れない状態に、ドイツサッカー協会はクラニイを正式に代表チームから除外することを発表したのである。

 年齢的にも円熟期に入るシャルケ04のエースが代表チームでベンチにも入れないことはとてもつらいことなのは理解できる。しかしながら代表チームでの彼の存在は絶対的なものではなかったことも事実。選手として、目の前の事実を受けとめ、それをトレーニングにぶつけ、ブンデスリーガでゴールを量産するという模範解答もあったはず。代表52試合出場19ゴールという記録とは裏腹に寂しい引き際に、彼のファンもショックを感じているだろう。

(文 福岡正高)

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