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指揮官と主力が対立。スコットランド代表に激震!

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Text alert@中島(グラスゴー)

 10年W杯予選で低迷するスコットランド代表に激震が走った。ジョージ・バーリー監督と、05-06シーズンから2年連続スコットランドリーグの得点王に輝いたFWクリス・ボイドが徹底抗戦を繰り広げているのだ。

 発端は、レンジャーズのFWボイドが11日のノルウェー戦に引き分けた後、「バーリー監督の下ではプレーしない」と宣言したことにある。バーリー監督は代表デビューとなるFWクリス・イウェルモ、新鋭FWスティーブン・フレッチャーを0-0の場面で途中投入した一方、ボイドにチャンスを与えなかった。

 この采配に憤慨したボイドは、「ノルウェー戦のようにゴールが求められる試合で、私は少なくとも脅威を与えることができる。監督は明らかにそう感じていないようだがね」とコメント。まるで後半19分、無人のゴールにシュートを押し込めなかったイウェルモを暗に批判しているかのようだった。

 13日付の地元紙がボイドの発言を大々的に伝えると、バーリー監督は同日緊急記者会見を開き、ボイドに三行半を突きつけた。

「(得点王という)評判は過去のものだ。私がチームを選ぶ。プレーを見て、貢献を判断し、練習でいかなる態度を示しているかも見ている。それはとても重要なことだ。コンビネーションも見ている」

 ボイドはスコットランド代表として15試合に出場し、7ゴールを挙げるなど同国屈指の得点力を誇るストライカーだ。その一方、ポストプレーや守備の拙さは否めず、今季のレンジャーズではレギュラーの座を獲得できていない。バーリー監督はこの点についても言及した。

「(レンジャーズの)ウォルター・スミスは英国で最も優れた監督のひとりだ。クリスは昨季、レギュラーとしてプレーしていない。(セルティックやハイバーニアン戦、昨季のUEFAカップ決勝など)重要な試合でプレーしていなかったら、私は『何か極めて良くないことがある』と考えなければならない。すべての選手には長所と短所がある。クリスには改善する必要のある要素があり、彼もそのことをわかっている」

 ボイドはそのメンタリティに問題のある選手として知られている。今回の発言が物議を醸すと、「スカイスポーツニュース」はボイドが練習中にチームメイトとじゃれ合う姿を何度も流した。また、ポール・ルグエン監督がレンジャーズを率いていた06-07シーズン、ボイドはキャプテンのMFバリー・ファーガソンとともに指揮官の采配を公然と批判し、最終的にル・グエン監督をチームから追いやったこともある。

 スコットランド代表では08年9月、レンジャーズのMFリー・マカラックが「クラブでのプレーに集中したい」と代表引退を表明。地元紙の報道によれば、今回のボイドだけでなく代表引退を考えている選手はまだ残されているという。その報道を知ってのことか、バーリー監督はボイドの代表復帰の可能性について聞かれるとこう答えた。

「決定はなされた。今は前に進む時だ」

 得点力の際立つボイドを支持する解説者、メディアは少なくなく、今回の問題はしばらく議論され続けるだろう。スコットランドは11月に親善試合でアルゼンチン代表と対戦するが、不甲斐ないパフォーマンスを見せるようならバーリー監督の解任論がタブロイド紙に浮上するかもしれない。果たして、10年W杯予選で低迷するスコットランドの命運やいかに?

(文・中島大輔)

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