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4戦連発のビジャ、シュート0本のF・トーレス、対照的な2人のエース

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[7.3 W杯準々決勝 パラグアイ0-1スペイン エリスパーク]

 まるで吸い寄せられるようにFWダビド・ビジャの足元へ転がってきた。後半38分、FWペドロ・ロドリゲスのシュートが左ポストを弾くと、ボールはビジャの目の前へ。すかさず右足で狙ったシュートは右ポストの内側に当たって跳ね返り、今度は左ポストをかすめてゴールラインを割った。「ポストがゴールに入ってもらいたかったんだよ」。執念の一撃がスペインを60年ぶりとなるベスト4に導いた。

 グループリーグ第2戦・ホンジュラス戦(2-0)での2得点から4戦連発の5得点目。W杯での4戦連発はスペイン史上初で、国際Aマッチ通算得点もFWラウル・ゴンサレスの持つ44得点にあと1点と迫る43点目となった。今大会の得点ランキングでも単独トップに立ち、08年の欧州選手権に続く得点王獲得も射程に捉えた。

 もはやスペインのエースだ。4月に右ひざを手術したFWフェルナンド・トーレスのコンディションがなかなか上がってこない中、孤軍奮闘の活躍を見せている。

 グループリーグ第2戦以降、4試合連続で先発しているフェルナンド・トーレスだが、出場時間は70分、55分、59分、56分。決勝トーナメント1回戦・ポルトガル戦では代わって入ったFWフェルナンド・ジョレンテが好プレーを見せたこともあり、“ジョレント待望論”まで聞こえる。

 この日は、より負担の少ない右サイドで先発し、前半12分過ぎにはセンターに戻ったが、前半終盤は今度は左サイドに入るなどポジションも定まらず、結局シュート0本のまま交代した。

 ポルトガル戦もパラグアイ戦も、決勝点が生まれたのはフェルナンド・トーレスがベンチに下がってから。これを偶然と片付けられるほど見通しは明るくない。

 幸運なことに、ビジャは絶好調だ。ビジャを中心にチームをつくるのか、それともあくまでフェルナンド・トーレスの復活を待つのか。ドイツとの準決勝に、果たして50数分間も我慢する余裕があるのかどうか。「ビジャはトップフォームだ。常にだれよりも早くボールに反応している。彼はゴールに飢えているんだ」と絶大な信頼を口にするビセンテ・デル・ボスケ監督の決断はいかに…。

(取材・文 西山紘平)

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