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鄭大世がボーフム移籍会見「目標は10得点以上、結果を出すことに全力を注ぐ」

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 川崎フロンターレからドイツ2部のボーフムへ移籍することが決まった北朝鮮代表FW鄭大世(チョン・テセ)が12日午前、神奈川県川崎市の川崎Fクラブハウスで移籍会見を行った。

 圧巻のパワーと得点力で「アジアのルーニー」とW杯でも注目を集めた鄭大世が、世界のトッププレーヤーになるという夢へ向かって最初に移籍するクラブとなったのはボーフム。川崎Fの武田社長とともに会見に出席した鄭は他に興味を示していた強豪ではなくドイツ2部であるこのクラブを選んだ理由として「1番最初に手を挙げてくれたから」と説明した。09-10年シーズンの1部から2部へ降格したボーフムだが、W杯前の時点から鄭に注目。そしてクラブ関係者が視察に訪れた5月25日の北朝鮮代表対ギリシャ代表で鄭がストライカーとしての能力を十分に見せ付ける2ゴールを決めたことで、移籍交渉は一気に進展したという。

 朝鮮籍であるがゆえに移籍する範囲がやや狭まったことを明かした鄭だが、「(ドイツ2部ということで)出るチャンスは多いと思う」と前向き。そして「自分はFWなんで、何試合出たとか、いいパフォーマンスをしたとかは問題ではない。結果を出すことに全力を注ぎたい。10点以上が目標」と欧州移籍1年目から2桁ゴールを奪うことを誓った。

 無名だった朝鮮大学校時代を経て川崎Fへ入団してから4年半。「全く無名でプロに入れるかどうか、何の確証もない自分を拾ってくれたフロンターレには感謝している」。プロ2年目の07年からは3年連続で2桁ゴールを記録し、川崎Fだけでなく北朝鮮代表でも不動のレギュラーとして活躍し、同国にとって44年ぶりとなるW杯出場も果たした。この日の会見では、特に結果が出せないときでもブーイングをせずに我慢強く見守ってくれた川崎Fサポーターに感謝。世界で評価されるFWとなって“家族”である川崎Fの元へ凱旋することを目指す。

 ボーフムで現在9番をつけているスロバキア代表FWスタニスラフ・シェスタクが残留すれば馴染みの9番ではなくこの日披露した13番で1年目を過ごす可能性もある模様だが、必要なのは背番号よりも目の前の結果。「結果を出して一流クラブにいける土台をつくりたい」と夢の舞台はまだずっと先にあることを口にした鄭。その活躍に熱い視線を送るのは川崎F、日本のサポーターだけではない。W杯初戦のブラジル戦を前に北朝鮮国歌を聴いて号泣した姿については韓国でも大反響を呼び、この日も数日間密着取材をしているという韓国のテレビ局が会見に訪れて個別インタビューも行っていた。生まれ育った日本、祖国の北朝鮮、そして韓国なども注目する本格派ストライカーが世界へ羽ばたくため、この夏、Jから欧州へ戦いの舞台を移す。
 
(取材・文 吉田太郎)

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