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[プレミアリーグEAST]市立船橋は優勝チーム押しこむも「壊す」部分が選手権への課題に

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[12.6 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 市立船橋高 1-2 鹿島ユース グラスポ]

 市立船橋高は優勝チームに引けをとらない90分間を演じた。朝岡隆蔵監督は「ボールを失わないことを前提に安定してゲームコントロールできるし、守備のところも局面のところで引かなかったし、負けなかったと思う」と一定の評価を与えた。だが今季、なかなか浮き彫りにならなかった部分が課題に。指揮官は「押し込んではいるけれど、という。壊しに行くとか、仕掛けに行くという姿勢が足りなすぎる」と厳しく指摘した。

 リスクを負わずにゲームを安定させて試合を進めることは高いレベルで実行できている。プレミアリーグ18試合のうち、5試合で喫した敗戦は全て1点差。全国高校総体決勝の敗戦もPK戦によるものだ。その一方で、例えば2-0からさらに突き放すような部分を欠いていたことも確かだが、Jユースや高体連の強豪相手に示してきたこの安定感の高さこそが、今年の市立船橋の強さの源だった。それも快足エースFW永藤歩やMF椎橋慧也主将を負傷で欠いた期間もある中でも市船はそのような試合を続けてきた。

 だが、この鹿島ユース戦では先制された直後に得意のセットプレーからCB杉岡大暉が同点ヘッドを決めながらも、再び突き放された後に貪欲に1点をもぎ取ることができなかった。朝岡監督は「揺さぶって終わっちゃっている。点取らないといけないシチュエーションであれで良かったのか。もう1個“壊し”に入っていくこと、ある意味で事故を起こしにいくこと、危険なエリアにイーブンでも何でもチャレンジしていくこと、そういうところが足りなかったかな。1-2の状況でいつか取れる? で、取れてきたチームだけどトーナメント(年末の選手権)では取らないといけない」。流通経済大柏高とのライバル対決を3-0で快勝した選手権予選や全国総体などこれまでの戦いでは、取らなければならない場面でゴールを奪えていた。だが、逆転優勝を目指したプレミアリーグEASTでは第17節の柏U-18戦を0-0で終えて優勝の可能性が消滅。この日は公式戦で3か月ぶりとなる敗戦を喫した。

 椎橋やMF押尾大貴、杉岡が破りに行くシーンもあったが、その回数はわずか。それだけに左SB古屋誠志郎は「勝ちきれなくて、力がまだ足りないと思いました。相手も守り堅かったですし、選手権でもそういう相手がいると思うし、それをどう突破していくか課題も見つかった。選手権まで時間があるので、それを課題にしてやりたい。シュートまであまり行けていなかったし、シュートを打たないと勝てない。自分もクロス行く回数を増やしたり、ゴールに行く回数を増やさないといけないと思いました」と引き締めた。

 この日はチャンスを得た2年生FW矢野龍斗が及第点のプレー。がむしゃらなプレーで推進力を生んでいるMF金子大毅ら新たに台頭してきた力が競争を激化させ、チーム力を引き上げている。そして椎橋や古屋、永藤に加え、MF工藤友暉やCB白井達也ら試合を決めるような存在も複数。優勝候補として臨む選手権まではゲームよりもトレーニングに多くの時間を割いて課題改善やレベルアップに務める。古屋は「まず1回戦が大事なのでしっかり勝ち切って、一個一個やることやって最後には笑って終われればいいと思います。(個人的には)最初で最後の選手権なんで、自分の良さ、市船の良さをしっかり発揮して全国の人に見てもらいたいです。応援してくれる人もたくさんいるんで、きょうもそうですけれど、勝たないと何も証明できないんで結果にこだわって、日本一取れるように頑張ります」。優勝こそ逃したものの、目標通りに優勝争いをしたプレミアリーグ。ここで学んだものを必ず選手権で活かす。

(取材・文 吉田太郎)
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