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兄活躍のインハイ中止に。帝京MF宮崎海冬は得意のボール奪取と攻撃磨いてプリンス、選手権で輝く

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帝京高MF宮崎海冬は得意のボール奪取と攻撃面をさらに磨いて全国で輝く

[2020シーズンへ向けて](※帝京高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 新型コロナウィルスの影響によって、インターハイが史上初の中止。リーグ戦も短縮される方向で、高校3年生プレーヤーたちは2年間積み上げてきたものを表現する貴重な機会、目標を失っている。

 全国高校選手権優勝6回の伝統校、帝京高(東京)の選手たちも4月の始業式が5月に延期され、チーム活動休止という中での難しい日々。昨年から先発ボランチを務めるMF宮崎海冬(3年)は、試合感覚が鈍ってしまうことや、他の強豪校・Jクラブユースとの差が見えないことも悩みだ。

 だが、今は練習再開、そして残された公式戦へ向けて自宅でできることをやるだけ。宮崎は「この期間は、去年試合に出ていて体が小さいと感じたので、体づくりのために沢山食べて、筋トレをして、体を大きく強くすることを心掛けてます」という。

 帝京サッカー部では栄養学を学んでいるため、各個人が食事に気を遣っており、iCloudで体重管理。加えて、「今年から、サッカー部では週1回オンラインでメンタルトレーニングの講師を招いたり、陸上専門の方が走り方のフォームを論理的に指導して下さっているので、どこまで成長できているか楽しみでもあります」。我慢の日々が続いているが、その中で自分の課題克服、今だからこそできる成長を目指している。

 宮崎は「試合中の1対1の守備で抜かれない自信があります」という守備力の持ち主。帝京は東京の高体連で唯一、プリンスリーグ関東に参戦しているが、昨年の公式戦で宮崎は強敵相手でも怯むことなく、自分の得意なボール奪取から攻撃に繋げられる試合があったと感じている。

 特に3-3で引き分けた横浜FCユース(神奈川)戦は自身にとってのベストゲーム。「一番手応えを感じました。試合の中で、一番中盤でボールを奪って攻撃に繋げることが出来たからです」。この一年、自分よりも身体が強い相手、速い相手でも読みの速さで上回ってボール奪取できるようになったのは成長した部分。今年はプレッシャーのかかる試合でも前に出て、よりボール奪取の回数を増やし、攻撃面でもっとチームに貢献するつもりだ。

 意識しているのは、プリンスリーグ関東での対戦が予定されているボランチだ。「勝手にライバルって思ってしまってるんですけど、凄いなって思ったのは昌平高校の柴(圭汰)くんです。体は大きくないのに、ボールを失わずさばけるところや、守備の予測が速くて試合でマッチアップして凄いって思ったからです」。柴は1月の全国高校選手権で昌平高(埼玉)の8強進出に貢献し、日本高校選抜候補にも選出されたボランチ。直接対決した際には相手のキーマンを上回り、チームの勝利に貢献する。

 今年の目標について、宮崎は「自分自身の目標はチームにとって必要不可欠な存在になり、得意な守備はさらに伸ばし、攻撃でもチームに貢献できるようにしていきたいです。チームとしてはプリンスリーグ残留、選手権で全国大会出場、そして優勝を目指しています」。兄のFW宮崎純真(甲府)は、山梨学院高(山梨)3年生だった18年のインターハイで5得点を挙げ、エースの働きで日本一。その活躍によってプロへの道を切り開いた。同じ舞台に立つことができないのは残念だが、宮崎はこの春に成長を遂げてプリンスリーグや選手権で必ず輝く。

(取材・文 吉田太郎)

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