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[プリンスリーグ]中盤制した横浜FMユースが「大きな」1勝(流通経済大柏高vs横浜FMユース)

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[5・18 JFAプリンスリーグ(U-18)関東1部第8節 流通経済大柏高 0-3 横浜FMユース 流通経済大柏高グラウンド]

 昨年度の全日本ユース(U-18)選手権、全国高校選手権2冠の流通経済大柏高(千葉)とプリンスリーグ関東で首位を走る横浜FMユース(神奈川)との一戦は、FW榎本大希(16)の2得点の活躍などで横浜FMユースが3-0で快勝した。

 前節まで4位(4勝1分2敗)、首位と勝ち点3差の流通経済大柏高は、エースMF田口泰士(17)が4-4-2の布陣の中盤の底の位置で先発。2トップは全国高校選手権で活躍した久場光(18)とアメリカ人の父親を持つ大型FWグレイブス・ジョシュア(16)で、今季5得点の左MF河本明人(18)や3日の湘南ユース戦で3アシストを記録した左SB福田光(17)らピッチには攻撃力の高い選手が並んだ。
 一方、5勝1分1敗で首位の横浜FMユースは昨年のU-17W杯日本代表のエース斎藤学(18)が累積警告で出場停止。だが、同じくU-17W杯日本代表のFW端戸仁(17)とDF甲斐公博(18)はそろって先発し、U-16代表経験を持つ快足FW榎本や抜群の技術を持つ右MF小野悠斗(16)らタレントがスタメンに名を連ねた。その横浜FMユースがエース不在を感じさせない試合を展開する。

 流経大柏・ジョシュアの右足シュートで幕を開けた試合は、7分にもショートカウンターから久場がシュートへ持ち込むなど、積極的なプレッシャーを見せる流経大柏がリズムをつかみかける。だが、その後は中盤でのパスワークが横浜FMユースの佐藤優平主将(17)と荒井翔太(17)のボランチコンビに封じられ、思うようなサッカーをすることができない。逆に2トップが抜群の動き出しを見せる横浜FMユースは、DF裏のスペースを使った攻撃が次々とつながり、シュートにまで持ち込んだ。10分には塩田光(16)がGKと1対1のチャンスを迎え、16分には相手マークを外したDF清水皓平(17)が右FKにフリーで飛び込み相手ゴールを襲った。

 中盤での好守から試合の流れをつかんだ横浜FMユースは22分、佐藤の絶妙のスルーパスに榎本が抜け出し、左足で先制ゴールを流し込んだ。リードされた流経大柏は田口を基点に反撃を試みるが、相手の厳しい守備の前にズレが生じ、緩いパスをカットされるなど攻撃にスムーズさを欠いた。それでも32分に久場が左サイドを抜け出し、ジョシュアへラストパスを通す。流経大柏にとってこの日最大の好機だったが、ジョシュアの右足シュートはゴール右へ外れ、同点機を逃してしまう。
 ここが試合のポイントだった。直後の35分、横浜FMユースは端戸のスルーパスに抜け出した榎本が再び独走。そのまま2点目のゴールを決めて2-0とした。さらに38分には流経大柏のバックパスをさらった小野悠が3点目。一方で右の曽我敬紀(17)、左の臼井翔吾(18)の両SBが高い安定感を見せサイドの局面でも優勢に試合を進める。「しっかり守備から入ろうと話していた。立ち上がりからペースを握れたのが大きい。(3得点は)相手のプレスが速いんで、裏を狙うイメージを持っていた」と佐藤。狙い通りの攻撃から前半だけで3点の大きなリードを奪った。
 和田武倫監督が「出来すぎ」と前半を振り返った横浜FMユースに対し、流通経済大柏は後半開始からスピードへの対応に難のあった両CBを交代させるなど3選手を入れ替え、まずは最終ラインの安定を図る。そして守備を立て直すとロングボール主体に反撃を開始。15分には久場を下げてストライカーの村瀬耀一朗(17)を投入。4-4-2から布陣を3-4-3へ変更し、パワープレーに出る。左SHへポジションを移した福田からのクロスを中心に攻勢を仕掛けた。だが、競り合いの際に確実に体を寄せてくる横浜FMユースの堅守を破ることができない。
 横浜FMユースはCB清水が接触プレーで負傷し、救急車で病院へ搬送されるアクシデントがあったが、3-0で快勝。和田監督は「ボランチ2枚がうちの生命線。守備の大きな役割を果たすようになっている」とボランチコンビの好守を勝因のひとつに挙げた。佐藤は「翔太(荒井)とオレがミスったら苦しくなるし、雰囲気が悪くなる。なるべく前を向いてサポートしようと思っていた。(攻撃時は)バックパスなど下げるとDFにプレッシャーがかかる。(プレーと判断を速くし)1タッチ、2タッチで前へ行かなければと思っていた」と話した。堅守と得点に絡む役割も果たしたボランチコンビを中心に主導権を握った横浜FMユースが「大きな1試合」(和田監督)を制し、首位を守った。

(取材・文 吉田太郎)

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