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[プリンスリーグ]新スタイルで勝った横浜FMユースが全国切符獲得!(横浜FMユースvs市立船橋高)

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[6・29 JFAプリンスリーグ(U-18)関東1部第9節 横浜FMユース 2-1 市立船橋高 平塚]

 9月に開幕する高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権の出場権を懸けたプリンスリーグ(U-18)関東は29日、1部第9節が行われた。前節まで6勝1分1敗で首位の横浜F・マリノスユース(神奈川)は昨年優勝の市立船橋高(千葉)と対戦。勝てば自力で全日本ユース選手権出場圏内の5位以内が決まる横浜FMユースが、FW端戸仁の先制ゴールなど2-1で勝ち、全国大会進出を決めた。
 昨年のU-17W杯日本代表メンバーである端戸、FW齋藤学を2トップに配した4-4-2の布陣を敷く横浜FMユースは前半5分、PAやや外で得た右FKを「イチフナ(市立船橋)戦は去年もFKでゴールを決めていた。決められる自信があった」という端戸が得意の左足で鮮やかに左サイドネットを揺らし、先制する。
 この日は未明から振り続いた強雨の影響でピッチのところどころで水が浮き、ドリブルではまともにボールが進まない悪条件。だが、横浜FMユースは浮き球のパスを多用して攻撃を展開。ボールを高く弾ませながらのテクニカルなドリブルをする齋藤、中盤からピンポイントのミドルパスを送るMF佐藤優平ら技術で相手を上回り、決定機を作り出していた。同12分には左MF塩田光の浮き球のスルーパスに齋藤が走りこみ、17分には左サイドでDFふたりをひきつけた齋藤のラストパスを端戸が左足ボレーで合わせた。
 優勢に試合を進める横浜FMユースは18分、佐藤の左CKをMF荒井翔太がニアサイドで合わせ、2-0とリードを広げた。9位の市立船橋はこの試合に勝たなくては5位確保が困難な状況になる。24日の全国高校総体千葉県大会決勝から先発10人を入れ替え、同試合で温存していた主力メンバーに勝利を託したがまさかの2点ビハインド。この状況に前半26分、早くもベンチが動いた。FW野口翔太を投入し、中盤フラットの4-4-2から、FWで先発していたエース中村充孝をトップ下に移行するダイヤモンド型の中盤へ布陣を変更した。リスクを負って攻めに出た市立船橋は縦パスから2トップとサイドMFを走らせたほか、セットプレーで得点を狙っていく。
 横浜FMユースがやや攻撃の手を緩めたこともあり、流れを引き寄せた市立船橋は後半2分、DF西田直樹の右FKをMF笈川大樹が頭で押し込み1点差に迫る。一気に攻勢に出た市立船橋は同18分、笈川のスルーパスを途中出場のMF鈴木宏樹が決定的な左足シュート。だが、枠を捉えられない。この後、激しい中盤での攻防戦から互いがDF裏のスペースを狙い合う試合展開となった。1点差に詰め寄られた後も横浜FMユースは決定機をつくり続けるが、市立船橋GK有富大起の好守に阻まれ追加点を奪えず。一方、アタッカーを次々とピッチへ送り出し同点を狙った市立船橋は、40分に西田の左足FKがゴールを捉え、44分には左クロスにMF望月陽介、FW箕輪誠也が飛び込む。だが、足が止まりそうになりながらも、かつてないほどの必死のディフェンスと勝利への執念を見せた横浜FMユースが1点のリードを死守。2-1で逃げ切った。
 昨年のプリンスリーグ関東、全日本ユース選手権でいずれも2-3で敗れるなど横浜FMユースは過去数年間、1度も市立船橋に勝っていなかった。“天敵”とも言える相手から泥臭くつかんだ勝利に横浜FMユースの和田武倫監督は「今日は選手たちに新しいマリノスを見せようと言っていた。悪条件だったので、パスワークで仕掛けるのではなく、ロングフィードを使った攻撃と走力もマリノスにはあるところを見せようと言っていた。選手たちはメンタル面も含めて逞しくなったと思う」と選手を讃えていた。主将の佐藤も「甲斐(公博)、臼井(翔吾)中心に守備がよくやってくれている。きょうは泥臭く、がむしゃらにできた。高円宮杯へ向けて、高校の中で名のあるチームに勝てたことは大きい」と納得の表情を見せていた。
 次の目標は1位での関東突破(残り2試合)、そして日本一だ。端戸は「高円宮杯は高校、クラブの強いチームだけが集まる。これを取れば本当の日本一になる。自分の力を出し切りたい」と意欲的。得意のパスワークによる華麗なサッカーではなく、勝負強い戦いぶりを見せた“ニューマリノス”が初の全日本ユース・タイトル奪取へ狙いを定めている。

(取材・文 吉田太郎)

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