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[MOM4675]鹿島ユースMF福岡勇和(1年)_本人も驚く2試合連続ゴール!1年生ボランチは自らの成長のキャンバスに新たな色彩を加えていく

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鹿島アントラーズユースMF福岡勇和(1年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は2戦連発で存在感を発揮

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.27 プレミアリーグEAST第4節 鹿島ユース 2-1 横浜FCユース カシマ]

 正直に言って、こんなにすぐ試合に出られるとは思っていなかったけれど、このユニフォームに袖を通し、ピッチに立つからには全力でやるしかない。自分のために、仲間のために、チームのために、どこまででも走ってやる。

「今まで勝てていなかったですけど、今日は良い雰囲気で終われたので、来週からもこの良い雰囲気のままで、チームが一丸となって戦えれば、これからもまた勝って行けるんじゃないかなと思っています」。

 ここまでのリーグ戦4試合ですべてスタメン起用されている、鹿島アントラーズユース(茨城)に現れたルーキーボランチ。MF福岡勇和(1年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)のゴールセンス、覚醒中。


 2分け1敗と未勝利で迎えたプレミアリーグEAST第4節。聖地・カシマサッカースタジアムに横浜FCユース(神奈川)を迎えた一戦は、19番を背負った1年生がいきなり試合を動かす。

 前半8分。左サイドからMF中川天蒼(2年)が中央へボールを入れた時に、もうイメージはしっかりできていた。「湊海がキープしてくれた時に、『自分がフリーだな』と思って『パス出せ!』と言ったら、良いところに出してくれました」。FW吉田湊海(1年)が落としたボールを、左足で丁寧にすくったシュートは右スミのゴールネットへ吸い込まれる。

「コースは狙い通りでした。このスタジアムで決められるとは思っていなかったので、メッチャ嬉しいです!」。ゴール後はコーナーエリアに滑り込むと、すぐさまチームメイトの歓喜の輪に飲み込まれる。チームを勢いづける貴重な先制点。しかも、これで福岡は先週末の流通経済大柏高(千葉)戦に続き、2戦連発ということになった。

 前節のゴールは左からDF佐藤海宏(3年)の折り返しをダイレクトで叩いたもの。今節の一撃も決して簡単なシュートではなかったが、この状況に一番驚いているのはどうやら本人のようだ。

「自分は『点を決めたい』とそんなに強く思っているわけではなくて、ジュニアユースの時も今日の大貫(琉偉)がやっていたような後ろ目のボランチで、そこまで点は決めていなかったので、2試合続けてのゴールは初めてですし、今日も『決められたらいいな』という感じだったので、ビックリしています」。そう口にして少し笑顔を浮かべる表情が初々しい。


 後半に入ると、DF土橋竜之介(3年)のゴールでリードを広げたものの、終盤に1点を返される。残された時間は10分あまり。「最後の方になってくるにつれて横浜FCがうまく前の方にボールを繋ぎだして、キツい時間もあったんですけど、みんなの勝ちたい気持ちが強かったですし、自分も絶対に勝ちたかったので、『走るしかないな』と思っていました」という福岡も最後の力を振り絞る。

 力になったのは、スタンドからジュニアユースとジュニアの“後輩”たちが送ってくれた大きな声援だったという。「プレーしていても声が通らないぐらい応援が聞こえていましたし、最後になってくるにつれてあの応援が聞こえてくることで、また『頑張ろう』という気持ちが出たので、本当にありがたかったです」。

 耐えて、耐えて、ようやくタイムアップのホイッスルが聞こえてくる。「『ここで?』というタイミングで笛が鳴ったんですけど、本当に嬉しかったですね。みんなから勝ちたいという気持ちが伝わってくる試合だったので、良い試合になったかなと思います」。ユースに入って初めて味わう勝利の美酒。福岡にも、チームメイトにも、大きな笑顔の花が咲いた。



 正式にユースへ加入してからは、まだ1か月あまりの高校1年生。「『プレミアの試合に出たい』とは思っていましたけど、こんな早く出られるとは思っていなかったので、これからもずっと出続けられるように頑張らなきゃなと思っています」とは本人だが、早くもそのハードワークぶりはチームの大事なピースになっている。

 自身の特徴を尋ねると、「自分は守備が特徴で、相手を1対1で潰すのが得意です。球際のところで強く行けるプレーヤーだと思っているので、1対1では負けないようにプレーしています。あとは声を出したりできるところも評価されているのかなと。声を出すことに恥ずかしさはないですね」とのこと。ちなみに発揮しつつある得点感覚に関しては「得意になればと思っています(笑)」と話してくれた。

 ここまでの4試合を経て、確実にプレミアリーグのステージでもやっていけそうな手応えは掴みつつあるようだ。「まだ緊張している部分もあって、『やれるんじゃないかな』という手応えもあるんですけど、もっと自分がチームを回せるぐらいになれたらなとは思います。まずはこのまま試合に出続けるのが目標ですけど、代表にも入れるように頑張りたいですし、チームの勝利に貢献できるような選手になりたいなと思っています」。

 中盤ではドイスボランチを組むMF大貫琉偉(1年)、右サイドハーフのMF平島大悟(1年)がスタメンを張り始め、ここまでフォワードで2ゴールを挙げながら、この日の終盤はボランチで並んだ吉田と、同じ1年生もピッチで躍動を続けている中で、福岡の存在感が増していることは間違いない。

 今後の目標を発した言葉も力強い。「このままどんどん勝ち点3を獲っていって、プレミアリーグ1位になりたいですし、自分も得点以外のところでも、いろいろなプレーを出して、試合に絡んでいければいいなと思います」。

 鋭い得点感覚も備え始めながら、何よりやるべきことを地道にやれる、鹿島ユースの中盤を支える1年生ボランチ。福岡勇和がここから描いていく成長のキャンバスには、まだまだ自分も想像もしていないような色彩が加わっていくはずだ。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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