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内容に課題も、「走れる」立正大淞南が大社に1-0で勝利。プリンスリーグ中国で唯一の開幕4連勝

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立正大淞南高が開幕4連勝。FW若槻大雲(右)は決勝点をアシストした

[4.27 高円宮杯プリンスリーグ中国第4節 立正大淞南高 1-0 大社高 松江市営補助競技場]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2024 中国は27日に第4節が行われ、立正大淞南高(島根)と大社高(島根)が対戦。島根県勢同士の対戦は、立正大淞南が1-0で勝利した。

 立ち上がりから立正大淞南がFW郷原巧実(3年)とFW若槻大雲(2年)の2トップや、MF西森永眞(2年)とMF三島拓人(3年)の両サイドがドリブル突破やコンビネーションで攻め崩そうとするが、大社もDF栗原貴志(2年)とDF武信瑛大(2年)の両CBを中心に粘り強く対応。前半半ばからは敵陣まで攻め込む回数が増え、26分にFW石川晄(2年)、29分にはFW表田歩睦(2年)がシュートを放つも、どちらも枠を捉えられない。

 立正大淞南は攻め込む回数は多いものの、ゴールに近づいてからのパスや連係がかみ合わず、なかなかシュートまで至らない。42分にエリア内右サイドから郷原が右足で狙ったものが公式記録では前半唯一のシュートで、両チーム得点のないまま前半を終えた。

 立正大淞南は後半開始から郷原と三島のポジションを入れ替えたが、これがすぐさま的中する。4分、敵陣でのボール奪取からMF豊田寛太(2年)が右サイドに展開すると、パスを受けた若槻がドリブルからDFとGKの間を通すグラウンダーのクロス。ファーサイドでフリーになっていた三島がダイレクトで蹴り込んで先制点を奪った。

 追加点を狙う立正大淞南は、9分に交代出場のMF北川天晴(3年)がゴール前中央から右足で狙ったが、左に外れて決まらず。大社は15分にDF井上太陽(3年)のロングスローから表田がヘッドで狙うも上に外れ、立正大淞南は20分に三島のシュートがGKの正面を突く。24分には大社が右サイドを崩したものの、MF中林雄英(2年)のセンタリングをMF須田悠斗(3年)が合わせ切れず、どちらも次の1点が奪えない。

 1点差のまま終盤に入ると、大社が何とか追い付こうと攻め込み、井上のロングスローやCK、FKでゴール前にボールを送り込む。だが立正大淞南はGK山田新(2年)が的確な判断からのパンチングやキャッチでしのぎ、1点のリードを守り切った。

 大社は前節に続く連敗となり、1勝1分け2敗で10チーム中6位。「後半はボールを動かせるようになってきたが、単純なキックミスなどが多かった」と振り返った後長直樹監督は、それでも「ライン間やトップにパスが入る形を作れたので、その次の抜け出しやパスで(相手の最終ラインを)ひっくり返すことを増やしていければ、もう少し押し込めると思う」と課題を挙げた。

 2年ぶりにプリンスリーグに復帰した今年度は、昨年度よりも強度の高い試合を重ねながらチーム力アップを図る。後町監督は「最近は大量失点がなくなってきた。攻撃のクオリティーが上がったからこそ、変なボールの奪われ方は減ってきたけど、まだまだ」と語り、5月末から始まる全国高校総体(インターハイ)県予選を見据えた。

 立正大淞南はリーグ唯一の開幕4連勝を飾り、首位をキープ。野尻豪監督は今年度のチームの特徴の一つとして「走れる」ことを挙げており、苦しい時間帯も粘り強く戦って勝ち点3をつかんだものの、この日の出来については「粘ることは当たり前。それはできたけれど、じゃあ練習していることができたかと言われると、そうではなかった」と語った。

 野尻監督が指摘したのは、サイドから攻め込んだときにセンタリングが相手に当たらず、CKではなくゴールキックになってしまうプレーが頻発したことなど、「いまが勝負だぞ、というところが分かり切っていない」という詰めの部分。個人の突破か、グループによる崩しかの決断に迷いが見られたことも課題に挙げたが、勝利を重ねながら前向きに取り組めるのはプラス材料で、同県対決を制したことも含め、県予選に向けて収穫を得た一戦となった。

(取材・文 石倉利英) 


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石倉利英
Text by 石倉利英

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