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[プリンスリーグ]「真っ直ぐな」千葉U-18、一丸で東京Vユース封じきる

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[4.25 プリンスリーグ関東1部第3節 千葉U-18 1-0 東京Vユース 流通経済大柏高G]

 JFAプリンスリーグ(U-18)関東1部、ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)対東京ヴェルディユース(東京)は1-0で千葉が勝った。

 1-0と千葉リードで迎えた試合終盤、個人技による突破で相手守備網に強引に穴を開けようとする東京Vと身体を投げ出すように守る千葉。東京Vは途中出場のMF横内宏治のラストパスからFW南秀仁が右足を振りぬき、ロスタイムにはロングボールからPAでつなぎ、再び南が左足シュートを放つ。だが泥臭く守る千葉にコースを消されたシュートはいずれもゴールを捉えることができなかった。足を攣らせる選手も出た中、4分間のロスタイムを何とか凌いだ千葉は試合終了の笛とともに喜びを爆発させた。

 U-19日本代表候補に名を連ねるMF小林祐希に加えて小柄なテクニクシャンMF杉本竜士、MF楠美圭史ら年代別の日本代表クラスのタレント擁する東京Vに何度も切り崩されそうになった。だが千葉は大木誠監督が「代表選手はいないけれど、自分たちの力を理解しているし、姿勢が謙虚というか真っ直ぐ」と評する選手たちが“格上”相手に90分間対抗。MF板倉直紀主将のシュートのこぼれ球を押し込み決勝ゴールを決めたエースFW金井涼太を後半立ち上がりの負傷交代により欠く苦しい展開にも、誰より多い運動量で何度も相手の攻撃を断ち切ったMF佐藤祥をはじめ、チームリーダーの板倉主将、前線で勘のいいプレーを見せていたMF佐々部凌や相手の攻撃を跳ね返したDF陣ら千葉は一丸となって強豪撃破を成し遂げた。

 かつて「育成のジェフ」と言われてきた千葉も近年はMF工藤浩平に続くレギュラークラスを輩出できない状況。日本クラブユース選手権やJユースカップで決勝進出していた成績も急降下した。ただ育成の建て直しを宣言したクラブはMF阿部勇樹(現浦和)らを育てた大木監督を現場復帰させ、アカデミーマネージャーに名古屋U18を躍進させた実績を持つ朴才絃氏(千葉には復帰)、U-18コーチに前京都U-18監督の菅澤大我氏を招きいれるなど、「育成のジェフ」復活へ育成コーチ陣を大きく入れ替えた。昨年トップチーム担当だった大塚慶輔フィジカルコーチが今季はユース担当になったことで「トップへいくためには何が大事か」選手たちの意識も変わった。

 前節は全日本ユース選手権王者・横浜FMユースに対して退場者を出しながら0-1と粘るなど最後まであきらめない心と戦い抜く力を見せる今年の千葉U-18。就任1年目の昨季、チームを早速11年ぶりの全日本ユース選手権出場へ導いた大木監督は「クラブの職員みんなで育成を注目していく。ハード面も変わったし、クラブの中で活性化している。意識が変わってみんなが上向きになってきている。今年の選手は昨年出ていたメンバーが少ないが、きょうのような厳しい試合を通して自信をつけてくれれば」。この日、トップチームの試合があるにも関わらずU-18チームの応援に駆けつけていたサポーターに感謝した指揮官は、選手たちの成長に期待を寄せていた。

(取材・文 吉田太郎)

特設:プリンスリーグ(U-18)2010
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