beacon

[プリンスリーグ]戦力向上の桐光学園、手ごたえの勝ち点1(桐光学園vs横浜FMユース)

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.5 JFAプリンスリーグ関東1部第6節 桐光学園高 1-1 横浜FMユース 三菱養和会巣鴨G]

 JFAプリンスリーグ(U-18)関東第6節、2位の横浜F・マリノスユース対9位の桐光学園高(ともに神奈川)は後半5分にDF福森晃斗の直接FKにより桐光学園が先制したが、36分に横浜FMのMF木村魁人が同点FKを決め1-1で引き分けた。

 得点ランキング首位独走中のエースFW小野裕二を中心に第5節まで関東1部最多の18得点をたたき出していた優勝候補筆頭・横浜FMに高校チーム勢の雄・桐光学園が食い下がった。前半こそ中盤の底の位置から好パスを配給するMF澁谷元気や小野といった、判断速度・正確性で上回る選手のプレーに遅れを取り、くさびの選手を交えて急加速してくる相手のパスワークや、2列目から勢いよく飛び出してくる選手への縦パスに穴をこじ開けられそうになった。

 だが桐光学園は福森、高橋将吾を中心としたDF陣が走りこんでくる相手選手へ必死の対応。抜群のスピードとテクニックで仕掛けてくる小野や、右サイドからマーカーを振り切って飛び込んでくるSB星雄次らに悩まされながらも、相手との距離を詰めて何とかシュートの精度を狂わせていく。またGK峯達也もDFラインの背後のスペースを的確にカバー。前半だけでシュート8本を放たれたが、無失点で切り抜けた。

 すると後半開始直後、ゴール正面右寄りの位置で獲得したFKから福森が左足を一閃。鋭い弧を描いたシュートはゴール左隅へと突き刺さった。後半12分に圧倒的な存在感を放っていた横浜FM・小野が2枚目のイエローカードを受けて退場したことで桐光学園の勝機が高まる。危険な存在だった星雄次の飛び出しからMF後藤拓斗に決定機をつくられる場面もあったが、1-0のまま試合を進める。

 だが後半36分、PAやや外で痛恨のファウルを犯すと直前に投入されたばかりの横浜FM・木村に同点FKをねじ込まれ1-1。この後、再三相手ゴール前へ迫り、10番のMF菅能将也や途中出場のFW三荷淳也が決定的なシュートを放つが、決めきれない。強敵相手に好ゲームを展開した桐光学園だったが、勝ちきることはできなかった。

 攻守で存在感を発揮した桐光学園の福森は「引き分けは最低のラインだった。勝ち点1を取ったというよりも、勝ち点3を逃したという感じ」と無念の表情。これで6試合を終えて勝ち点5と昨年の成績(同時期の勝ち点9)を下回っている。
 ただチームは前向きだ。昨年は全日本ユース選手権を含めてJクラブユース勢から5勝を挙げている桐光学園だが、そのほとんどは守り抜いてから少ないチャンスを決めて勝った試合ばかり。自ら仕掛ける手がなく、わずかなチャンスを何とかものにした勝利であった。だが今年は違う。佐熊裕和監督も「カウンターばかりではなくダメなら崩そうと。そこでチャンスをつくっていた。序盤以外は落ち着いてやっていたと思う。集中力と判断のところでやられていたがそれは範ちゅうのもの。昨年に比べるとユース勢との力の差はないと感じている。できると確信している」と言い切った。

 まだライバルに比べると攻撃の速度を上げる前に相手に詰められてボールを失う回数が多く、ゴール前での判断の遅さや精度の低さは課題。それでも、ようやく復帰した坂本颯と未だ離脱中の田口広也という大型FW2人を欠くなかでも、横浜FMをシュート数で上回るなどパスをつなぎながら相手の隙あれば得点できるだけの攻撃力がついてきている。FW菅原慶人主将はこの日の試合を「最後粘りたかった。勝ちたかった試合」と反省したが「どのユースの相手でも自分たちのやりたいサッカーが表現できてきている。ただ、後半最後まで続けられていない。最後の粘りだったり、決められることができるか。最後までやりきることができれば勝てるようになる」と前を向いた。

(取材・文 吉田太郎)

TOP