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[プリンスリーグ]まるで2冠達成チーム、流経大柏が圧巻プレスで3位浮上(流通経済大柏vs三菱養和SCユース)

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[5.5 JFAプリンスリーグ関東1部第6節 三菱養和SCユース 0-1 流通経済大柏高 三菱養和会巣鴨G]

 JFAプリンスリーグ(U-18)関東1部第6節、3位の三菱養和SCユース(東京)と4位の流通経済大柏高(千葉)との一戦はFW田宮諒のゴールで先制した流経大柏が堅守でそのリードを守り、1-0で勝利。3位へ浮上した。

 まるで全国高校選手権と全日本ユース(U-18)選手権で優勝した07年度のチームを見ているかのようだった。前線に位置する田宮と杉山賢史を筆頭に古波津辰希と増田湧也のダブルボランチらが圧倒的なプレスで相手を飲み込んでいく。自陣から徹底的につなごうとした三菱養和だったが、その網にかかって自陣でもパス精度を欠き、何度も背走するシーンを強いられた。2ボランチから攻撃をスピードアップさせようとするが、流経大柏の好守の前にエースFW田中輝希主将、U-17日本代表MF田鍋陵太という2枚看板になかなかボールをつなぐことができない。

 流経大柏は前半19分に先制点を奪う。中央から右サイドへ展開するとMF石井克仁がクロス。これを「石井のクロスは精度が高くて、自分の準備もできていた。(ゴールは)ボールがよかったです」と振り返る田宮が頭でゴールへと流し込んだ。対して厳しいプレスをかわして何とか敵陣でFKを得た三菱養和は、ゴールまで30~40mの距離からでも田中が無回転FKを打ち込み、運動量の多いMF佐藤聖やMF近藤貴司が個人技を活かしたドリブルシュートへと持ち込んでいく。

 ただ、技巧派が揃い、遅攻からでも相手ゴールをこじ開けることのできる三菱養和だが、この日は大黒柱の田中へ入るボールを流経大柏の大型CB増田繁人主将らにシャットアウトされるなど、アタッキングエリアに入る回数が絶対的に少なく、サイドをえぐる場面もわずか。流経大柏の拙攻に助けられたものの、ショートカウンターを何度も繰り出され、浴びたシュート22本のうちの多くは決定的なシーンとなっていた。

 2点目こそ決めることができなかったが、5-0で快勝した横浜FMユース戦に続く完封勝利を成し遂げた流経大柏の本田裕一郎監督は「きょうは相手よりも早くボールに寄せただけ」。ボールの取りどころが曖昧だったことなど満足はしていなかったが、それでもユース勢連破に満足そうな表情を浮かべていた。序盤戦はなかなか波に乗ることができなかった流経大柏だが、全国レベルの攻撃陣擁する2チームからの連勝。強さをピッチ上で示している。

 全国随一の選手層を誇り「30人のレギュラーがいる」と評される流経大柏。吉田眞紀人や宮本拓弥といった注目アタッカーを先発から外しても、強豪に勝ちきった。現在のテーマは攻撃よりも守備。本田監督は言う。「一人ひとりは球いじりの好きな子ばかり。でもこの勝負限りというところではボールを持たせてはくれない。そういう話をしてから選手はプレスをかけ出した。(攻撃力を)期待している選手はいるけれど、いくら上手くても『オマエ取ってくれ』と味方がボールを取ってくれることを期待しているヤツじゃ使えないですよ。自分で取れないとダメ。取られたら自分で取り返すんだ、という気持ちで戦うようになってほしい」。

 運動量と守備力だけでピッチに立つ権利は得られないが、チームの必要とするレベルになければ先発を勝ち取ることはできない。前節の横浜FM戦から先発を獲得した杉山は「全員が運動量があるし、連動した守備をしている。それで勝つことができてチームにとって自信になっている」。また決勝ゴールの田宮は「技術では劣っても、他のFWに負けないように走って前から守備をやっている。(守備面を中心に)チームはまとまってきた」と現在のチーム状況の良さを口にした。
 次戦は3連覇を目指して6連勝中の首位・F東京U-18戦。田宮は「ボクたちが倒したい」。「走る」流経大柏が王者撃破でクラブユース勢3タテを狙う。

<写真>献身的な守備と決勝ゴールでチームを引っ張った流通経済大柏FW田宮(右)
(取材・文 吉田太郎)

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