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[プリンスリーグ]悪くても勝つ、筑陽学園の強さは本物(筑陽学園vs鹿児島実)

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[5.8 JFAプリンスリーグ九州1部第7節 筑陽学園高 2-0 鹿児島実高]

 JFAプリンスリーグ(U-18)九州は8日に第7節を行い、筑陽学園高(福岡)と鹿児島実高(鹿児島)が対戦。筑陽学園が2-0で勝った。

「今日は走りきれていないな」。試合を見つめる吉浦茂和総監督はそうつぶやいた。真夏を思わせる炎天下。第6節まで日章学園高(宮崎)と同じく、無敗の筑陽学園イレブンの動きは重く、鹿児島実に押し込まれる展開が続いた。

 鹿児島実はMF大内田涼、FW重信勇貴を中心に素早いパス交換から、果敢にサイド突破を仕掛け、リズムをつかんだ。しかし、筑陽学園の坂本拓也と大武峻のCBコンビを中心にした堅いブロックディフェンスを破ることが出来ない。筑陽学園の両サイドハーフも守備に参加し、DFラインとMFラインの2ラインのブロックディフェンスは強固そのもので、鹿児島実は攻めあぐねる時間が続いた。

 逆に31分、走りきれていなかった筑陽学園が、“走りきるサッカー”の真髄を見せる。ボールを奪うと、久保山衆斗と小室和也の2トップが一気に走り出し、カウンターを仕掛けると、最後は小室が先制弾を叩き込んだ。

 1-0で迎えた後半、今度は筑陽学園が主導権を握る。守備でリズムをつかむと、前半同様に鹿児島実を攻めあぐねさせ、隙を付いて一気にカウンターを仕掛ける。これが徐々に鹿児島実の体力を奪っていく。ボディーブローのように相手にダメージを与えていくと、後半ロスタイム、嵩に掛かって仕掛けてきた鹿児島実の猛攻をしのぐと、カウンターからPKを獲得。これを小室が冷静に蹴りこんで勝敗の行方を決定付けた。

 筑陽学園の青柳監督は「今日の出来はよくなかった」と話し、吉浦総監督も「今日はこれまでの中で一番悪い出来」と評したが、「内容が伴っていなかったけど、勝てたね」と青柳監督が語ったように、悪いながらも勝ちきれる強さが今年の筑陽学園にはある。優勝争いの中心にいる彼ら。これはその強さを実証するのに十分すぎる結果だ。

(取材・文 安藤隆人)

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