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[ナイキカップ]「未来をかきかえた」のは市立船橋!434チームの頂点に立ちイングランド遠征権獲得!!

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[7.11 THE NIKE CUP JAPAN FINAL 鹿児島実高 1-1(PK2-4)市立船橋高 味スタ]

 市立船橋高(千葉)が全国434チームの頂点に立った。高校チーム、クラブユースチーム、中学チームも参加して4月から熱戦を繰り広げてきた「THE NIKE CUP JAPAN」は11日、東京・味の素スタジアムでFINALを行い、東日本優勝の市立船橋と西日本代表の鹿児島実高(鹿児島)の高校サッカー界を代表する名門校同士が激突。1-1からのPK戦を4-2で制した市立船橋が日本一に輝き、表彰式直後の特別ライブで「HOME MADE 家族」から前日に完成したばかりという新曲「エール」を贈られたほかイングランド遠征の権利も獲得した。

 99年度と04年度の全国高校サッカー選手権決勝でも対戦している名門校対決となったFINAL。延長戦を含む100分間の死闘を勝利したのは市立船橋だった。1-1で突入したPK戦では2人目のMF杉山丈一郎が鹿実GK杉山拳斗にストップされながらも、「苦しいときは落ち着いてやれとコーチに言われたのを思い出した」と振り返るGK夏井智大主将が冷静なセーブで3人目の重信勇貴と4人目の園田大起のシュートを連続セーブ。劣勢から3-2と逆転すると最後はMF曽我部彰人が左足シュートをゴール右隅へと沈める。拳を突き上げて喜ぶ曽我部目掛けて市船橋イレブンが一斉に突進。そしてピッチ上で喜びを爆発させた。

 前半は鈴木潤と松丸龍の両CBを中心に鹿実の動きをシャットアウト。1学年上の世代に当たる鹿実のパワーに対抗した。そして相手が交代策に出た直後の後半6分、指揮を執る曽我光利コーチは技巧派のFW曽我部を投入。その曽我部が「コーチからオマエの活躍で決まるからと言われていた。自分が決定打を決めたいと思っていた」という言葉通りにいきなりゴールを陥れる。投入から1分後の7分、カウンターから中央を駆け上がったSB米塚雅浩が左サイドを突いた杉山へ絶妙なスルーパス。抜け出した杉山が中央へ折り返すと、曽我部がファーストタッチとなる左足シュートをゴールへねじ込んだ。

 前日10日に鹿児島城西高とのプリンスリーグ(U-18)九州1部最終節を1-0で勝利した直後に熊本から空路東京入りする強行日程だった鹿実は動きが重かったが、先制されてからは中盤へポジションチェンジしていたFW大内田涼主将を中心に反撃を展開。キープ力と正確なパスが武器の大内田主将がボールに絡むことで攻撃を活性化すると、前線でも重信が高い身体能力を活かしてボールを収めるなど完全に試合の流れを自らへと傾けた。
 そして相手を押し込んで迎えた23分、左SB重剣人のクロスを大内田主将がゴールへ沈めて同点。雨中の同点劇に鹿児島から駆けつけた応援団は一気にヒートアップした。1-1で延長戦に入った後も全くペースが全く落ちない九州の雄は、東郷ら中盤がセカンドボールを完全に支配。だがオール2年生の市船橋は最後まで譲らなかった。

 表彰式。うなだれる鹿実イレブンの数メートル先で、市船橋は特別ゲストとして会場を訪れた日本代表DF長友佑都とのフォトセッションなど優勝の喜びを爆発させる。そしてイングランド遠征の権利を獲得。PK戦決着というわずかな差で敗れた鹿実の森下和哉監督は「本当にいい大会でした。400チームのうちで決勝に残れたことはチームにとっても自信になる。きょうここで負けてイチフナさんが喜ぶ姿を見れたのは夏のこやしになった」と語り、大内田主将は「悔しいっすね。押し込んでいるときに決められるかどうか。これから次の目標を目指してチームをよくしていきたい」とこの敗戦からの成長を誓っていた。

 表彰式後、「HOME MADE 家族」「ET-KING」の特別ライブを満喫し、「HOME MADE 家族」から新曲「エール」を贈られた市船橋イレブン。誰もが目標として口にしていたイングランド遠征の権利を手中におさめた。曽我コーチは「勝ったあとは次のステップにいかなければいけない。イングランドで経験を積んでまた次のステップにつなげたい」。そしてPK戦で2本をセーブしヒーローのひとりとなった主将の夏井は「この大会を通して自信がついたし、『自分を変えることができた』。みんなには『負けるだろう』や『無理だろう』と言われていたけど、勝つことができたし、自分たちのこれからにつながる大会だった」。今大会のキャッチフレーズは「未来をかきかえろ」。自らのプレーで未来を変えたのは市船橋のイレブンだった。

(取材・文 吉田太郎)

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