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[全日本ユース(U-18)選手権]「怖がっている」「頑張れていない」注目対決は決定力の差で清水ユースに軍配

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[9.12 全日本ユース選手権1次R第2戦 清水ユース 2-0 滝川二高 埼玉S3]

 高円宮杯第21回全日本ユース(U-18)選手権は12日、1次ラウンド第2戦を行った。埼玉県の埼玉スタジアム2002第2グラウンドで行われた清水エスパルスユース(静岡)対滝川二高(兵庫)は2-0で清水ユースが勝利。1勝1敗とした清水ユースは、決勝トーナメント進出へ望みをつないだ。

 プリンスリーグ(U-18)東海1部王者の清水ユースと全国高校総体準優勝の滝川二高との好カード。ただし、今大会、負傷によって高校総体優秀選手の土師直大と2年生DF亀岡淳平の両CBを欠いている滝川二は初戦に続き、この日も本来SBの2人をCBへ回し、SHの2人をSBへ配置する苦しい布陣だった。
 一方、6年ぶりの高円宮杯出場となる清水ユースは大榎克己監督が「(選手たちが)怖がってしまっている。高円宮杯にしばらく出ていなかったことで経験値が少ないことを感じる。もっとやれるはずなのに」と嘆いたように選手が自信をもったボール回しをすることができず、ロングボールに頼っては失ってしまう場面の連続。自陣深い位置からでもポゼッションするスタイルを浸透させてきた指揮官も首を捻るしかないようなサッカーとなってしまった。

 初戦でともに大敗(清水ユースは浦和ユースに2-6、滝川二は流通経済大柏に1-7で敗戦)したことも影響しているのか、ベストパフォーマンスには程遠かった両チーム。その中で勝敗の差となったのは決定力だった。
 序盤攻勢だったのは滝川二。負傷から復帰したMF香川勇気が中央から左サイドのボールに絡み、右サイドからはSB濱田量也が質の高いボールをPAまで送り込む。また縦にえぐるMF本城信晴の突破も効果的だった。PAに入ってきたボールはエースFW樋口寛規がアイディアのあるシュート、ラストパスで決定機へと変えていく。ただこの日の滝川二はシュートが枠を捉えなかった。

 一方、消極的なサッカーだったことに加え、再三シュートまで持ち込まれるなど前半ほとんどいいところのなかった清水ユースだったが、エースがその技で流れを引き寄せる。前半終了直前の45分、清水ユースはMF成田恭輔からパスを受けたエースMF柴原誠がPAまで持ち込むと、個人技でマーカーの裏をとり左足シュート。この一撃がゴールへ突き刺さり、流れの悪かった前半ラストに先制点をもぎ取った。

 さらに後半8分には右サイドでボールを受けた柴原が相手マークの緩かった隙を突いて前進。背走する滝川二CBの前方へ絶妙なラストパスを送ると走りこんだU-17日本代表FW柏瀬暁が左足ダイレクトで押し込み2-0とした。このあと完全に主導権を握った清水ユースは、全体的にパスの出し手と受け手の呼吸のあわない場面が多かったものの、1年生MF石毛秀樹が再三PA付近まで顔を出すなど後半だけでシュート11本を放ち、滝川二を圧倒した。

 総体では後半に抜群の強さを発揮してきた滝川二も競り合いで強さを発揮していたFW浜口孝太主将が決定的な場面を迎えるなど、得点機をつくる。だが、後半は最後の局面でのしつこさがあった清水ユースがCB田代諒主将中心に完封勝利。2連敗となった滝川二の栫裕保監督は「情けない。力を出せていない。頑張る気持ちはあるけど、動けていない・・・・・・。頑張れていない」と総体での躍進を支えた走力を後半発揮できなかったことを残念がり、浜口主将は「県のインターハイでよかった後にプリンスリーグで悪くて、(全国)インターハイでよかった後に今回。自分たちは浮き沈みが激しい。ただ、また絶対に上がる。出直してきます」と復活を誓っていた。

 勝った清水ユースは1勝1敗としてBグループ首位の流通経済大柏高と勝ち点1差の3位。18日には逆転での決勝トーナメント進出を懸けて流通経済大柏と対戦する。柴原は「難しい相手だけど、何とかして勝つ」。大榎監督は「今年の目標は全国ベスト4以上。高円宮杯はこの年代の日本一をかけた大会。ぜひ日本一になりたいと思う」と目標が上位進出にあることを語っていた。それを果たすためにも、1次ラウンド最終戦はオレンジ軍団にとって絶対に負けられない戦いとなる。

(取材・文 吉田太郎)

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