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[全日本ユース選手権]強烈ビンタで「闘魂注入」も!“闘う街クラブ”三菱養和SCがJユース勢4連破!

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[10.3 全日本ユース(U-18)選手権準々決勝 清水ユース 1-4 三菱養和SCユース ひたちなか]

 “街クラブの雄”が再び全国4強へ! 高円宮杯第21回全日本ユース(U-18)選手権は3日、準々決勝を行い、ひたちなか市総合運動公園陸上競技場の第1試合では東海王者の清水エスパルスユース(静岡)と昨年4強の三菱養和SCユース(東京)が激突。後半立ち上がりの10分間で4ゴールを挙げた三菱養和が4-1で勝ち、2年連続の4強進出を決めた。三菱養和は9日の準決勝(国立)でFC東京U-18(東京)と対戦する。

 怒涛の4連続ゴールだった。前32分に右クロスをU-17日本代表FW柏瀬暁に押し込まれて先制点を献上した三菱養和はミスも多く、DFの背後を突かれて決定的なピンチの連続。だが11年名古屋グランパス加入内定のMF田中輝希が「前半はミスばかり。でも自分たちのサッカーをすれば負ける相手ではない」と語ったように切り替えて臨んだ後半、名古屋グランパスU18、アビスパ福岡U-18、ヴィッセル神戸U-18とJユース勢を飲み込んできた爆発力で清水ユースをノックアウトした。

 まずは2分、右サイドのMF近藤貴司からのクロスをファーサイドで受けた田中が距離を詰めてきたDFを左側から外し、豪快な左足シュートを叩き込む。赤いユニホームが歓喜に舞ったわずか1分後、右サイドから切れ込んだMF佐藤聖が左足シュートをゴール左隅へ突き刺して勝ち越した。

 田中が「養和は1点入ると勢いに乗れる。2点取って相手が落胆しているのがわかった。一気にいこうと思った」と笑顔を見せた一方、清水ユースは柏瀬が「課題としていた失点した後の建て直しがきかなかった」と残念がったように、悪い流れを食い止めることができない。勝負どころを見逃さなかった三菱養和は9分、10分にDF横山恭嗣郎とFW若狭夢信の連続ゴールで清水ユースの戦意を完全に奪い取り、4強へ名乗りを上げた。

 Jクラブユースではない、“街のクラブ”三菱養和。MF加藤大(現新潟)やMF玉城峻吾(現筑波大)らJユースに負けない逸材の集まった昨年は華麗なパスサッカーで旋風を巻き起こしたが、今年の特徴は厳しさ、泥臭さにある。ベスト4へ進出した昨年からあえて方向転換した理由について生方修司監督は「養和といえば、いい意味で『ほのぼの』やるということが(伝統的に)ありました。ただ私もコーチとしてベンチにいましたが、昨年負けたとき(準決勝で横浜FMユースにPK戦の末に敗退)に斉藤前監督(現ジェフユナイテッド千葉ヘッドコーチ)と話したのは『華麗に、美しく、だけでは勝てない』ということでした。変わったのは練習から厳しく、100パーセントやるということ。そのために怪我しても仕方ないという言い方をしていますし、その基準をもってやってきた」。

 試合前にGK野村祐太がチームメートに強烈なビンタで「闘魂注入」させていた姿が印象的だった。試合が始まればCB櫻岡徹也やMF内藤将梧らが体を張って相手の攻撃を遮っていた。足首の負傷から完全復帰を目指すU-17日本代表MF田鍋陵太や田中、近藤、佐藤ら昨年同等の好タレントを擁しているが「自分たちは昨年よりも弱い」と認め、練習からチームメートと激しく戦う“戦闘軍団”となって準決勝・国立競技場の舞台に戻ってきた。
 準決勝の相手は今年の日本クラブユース選手権(U-18)大会など過去幾度となく、行く手を阻まれてきたF東京U-18。この日全得点に絡んだ佐藤が「高円宮杯で本当に優勝したいと思っている」と言い切る新生・三菱養和がその闘志で、破壊力で「国立・東京ダービー」を勝利し、初の高円宮杯日本一に王手をかける。

<写真>後半10分、若狭のゴールを喜ぶ三菱養和イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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