[7.29 日本クラブユース選手権(U-18) 名古屋U18 1-2 神戸U-18 ニッパ球]

　adidas CUP 2011 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は29日、神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場で準決勝の2試合を行った。第2試合ではヴィッセル神戸U-18が名古屋グランパスU18を2-1で下し、初の決勝進出を果たした。

　先制ゴールが試合の命運を分けた。前半25分、神戸のFW内田祐介がPA右寄りの位置でFKを獲得。DF岩波拓也が蹴りこんだボールは、壁の横を抜けると、二アサイドにいた名古屋の選手の足に当たり、ゴールへ流れ込んだ。ラッキーな形で岩波の2戦連続直接FK弾が生まれ、神戸が先制に成功した。このゴールに名古屋イレブンは「あのゴールで慌ててしまった」(高原)、「先制点のシーンが悔しすぎて、落ち込んでしまった」(ハーフナー)というように動揺を隠せない。浮き足立ったままに時間は過ぎて、ゴールを奪うことはできず。前半を神戸の1点リードで折り返した。

　後半に入ると名古屋がようやく息を吹き返す。後半7分、DF佐藤和樹の左クロスにFW高原幹が飛び込むが飛び出してきたGK杉本康輔に止められた。また、FW北川柊斗に代わって、後半14分から出場したMF岩田考弘が果敢にゴールを狙う。幾度もサイドから突破を仕掛けて、シュートを放つが1点が奪えない。

　対する神戸は守備陣が奮闘。U-17W杯メキシコ大会メンバーの岩波を中心に攻撃を跳ね返す。DF仲島義貴も必死にドリブルで仕掛けてくる相手をストップ。決定的な場面をつくらせない。1点を守る時間が続いていたが後半17分、ドリブルで持ち込んだMF高見啓太が放ったシュートはGK伊藤悠稀に阻まれるが、こぼれをMF小林成豪がシュート。これもGKに弾かれたが、跳ね返りを内田が左足ダイレクトで押し込み、2-0に差を広げた。

　なんとかゴールの欲しい名古屋は195cmのDFハーフナー・ニッキを前線へ送り、パワープレーに出る。ロングボールをハーフナーにつなげようとするが、決定機はつくれない。対する神戸は「とにかくセカンドボールを拾ってこい」(野田監督)と運動量で相手を上回り、競り合いの後のボールをしつこく拾っていった。

　しかし後半42分にパワープレーが実を結ぶ。MF野崎椋のロングボールをハーフナーが頭で落とすと、こぼれを高原が左足ワンタッチで押し込んだ。1点差に詰め寄った名古屋は最後の力を振り絞り、猛攻を仕掛ける。終了間際の後半ロスタイム3分には、カウンターのチャンスに左サイドから大きくサイドチェンジ。これが神戸のDF免田朋己の手に当たり、PA外右の絶好の位置でFKを獲得する。しかし、佐藤が蹴りこんだボールは壁に当たり、右CKになった。試合終了が迫る中での右CKだったが、DFにクリアされてシュートまで持ち込めずにタイムアップ。神戸が2-1で逃げ切り、初の決勝戦へ駒を進めた。

　試合後、神戸U-18の野田知監督は決勝の東京Vユース戦へ向けては「個が強いチーム。あのドリブルの対応をどうするか。でも……止められないでしょう」と苦笑いをみせながらも「三ツ沢でやることを大会の目標にしてきたが、まだ達成感はない。ここまで来たら(決勝で)やっていくことは変えません」と意気込みを話した。

　一方、敗れた名古屋U18の高田哲也監督は「後半からやり直そうと話していたが、局面での1対1や球際のところで相手の方がうちよりタフだった」と神戸U-18を称えていた。

(取材・文　片岡涼)

---

▼関連リンク
第35回日本クラブユース選手権(U-18)大会